有機溶剤中毒予防規則では、定められている作業列挙(第1条第1項第6号)のうち、「ル 試験又は研究の業務」を除く作業は、有機溶剤作業主任者を選任しなければならない。
なぜ、試験又は研究の業務は有機溶剤作業主任者を選任しなくてよいのか?
解釈例規には、
・一般に取り扱う有機溶剤等の量が少ないこと
・有機溶剤についての知識を有する者によって取り扱われていること
と書かれています。(昭和53年8月31日 基発第479号)
研究職に就いている方はおそらく大学で化学を専攻していたと思います。
そのような方しかいないならば、条文通り有機溶剤作業主任者は不要です。
(注 以前知識を有する者は、院卒のことを指す。と聞いたことがあります。そこは監督官次第でしょうか)
しかし、試験・研究で用いた器具の洗浄などを、パートさんにお願いしている場合、その指揮のために、有機溶剤作業主任者の選任が必要です。
また、少し解釈が微妙ですが、
大学などの場合、学生が有機溶剤を取り扱う場合、有機溶剤作業主任者を選任しておいたほうが無難です。
無難というのは、学生は労働者ではないので適用されるか曖昧だからです。
ですが、もし万が一事故や中毒が発生した場合、教職員に責任が生じます。教育の一環として、有機溶剤作業主任者の技能講習を受講させ、作業主任者の職務を行わせることをお奨めします。
研究員がすべて化学専攻で、充分に知識を有しているとしても、有機溶剤作業主任者の職務を行う役を選任することをお奨めします。
その理由は、
有機溶剤作業主任者の職務
- 作業に従事する労働者が有機溶剤により汚染され、又はこれを吸引しないように、作業の方法を決定し、労働者に指揮すること。
- 局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を1月を超えない期間ごとに点検すること。
- 保護具の使用状況を監視すること。
- タンクの内部において有機溶剤業務に労働者が従事するときは、第26条各号に定める措置が講じられていることを確認すること。
(有機溶剤中毒予防規則第19条の2)
2.の局所排気装置等の点検を誰がやるかです。
専門の業者が毎月入るなら問題ないですが、そうでないならば、法的義務はありませんが、管理担当者をおくようにしましょう。