化学物質管理に係る専門家会議

令和5年、6年から変わる法律について、不明瞭なところが多いです。
その点について、標題専門家会議が開催されます。
そこでは次の事項について話し合われます。

  1. 濃度基準値関係
    ・濃度基準値の考え方
    ・設定対象物質の優先順位の考え方、対象物質の特定
    ・対象物質ごとの測定方法(捕集方法、分析方法)
  2. がん原性物質関係
    がん原性物質の対象とする物質の基準
  3. ばく露測定関係
    ・労働者のばく露の程度が濃度基準値を下回ることを確認するための測定方法
    ・作業環境測定(個人サンプリング法)の対象物質の拡大の検討
  4. 皮膚・眼対策関係
    ・皮膚又は眼に障害を与えるおそれのあることが明らかな物質の特定方法
    ・保護手袋等の選定の考え方

先日(9月1日)に第1回が開催されました。
初回なので、会議というより、趣旨と今後の流れの説明でした。
今後の予定を書いておきます。

◎第2回検討会(10月14日予定)
・ばく露が濃度基準値を下回ることを確認するための測定方法と考え方
・作業環境測定(個人サンプリング法)の対象物質の拡大の検討

◎第3回検討会(12月15日予定)
・濃度基準値の検討(約120物質)
・対象物質ごとの測定方法(捕集方法、分析方法)
・今年度の検討事項のとりまとめ(報告書)

今後も経過にご注目ください。
検討事項(4)は来年度(R6)になりそうです。

職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会(第12回議事録より)

第12回資料

3月に実施した検討会の議事録が8月にアップされました。
もう少し早くアップしてくれると嬉しいのですが。
第12回の議事録より云えることを少しだけ。

ラベル表示・SDS交付の義務拡大の進め方

 通知対象物質が674物質ですが、残りの物質の義務化を3年ほどかけて進めていくそうです。
 2021年度から毎年700物質程度増やしていき、2023年度には3018物質対応するようにするそうです。
 通知対象物質の674物質はリスクアセスメント対象となる数ですが、この増加した分も同様にリスクアセスメントの対象になるかは言及されていません。
 事業場からのアンケート結果から考えますと、毎年増える700物質に対応していくのは無理だと思います。リスクアセスメントの対象になるかは段階を踏んで増やされていくと思われます。
 二次元バーコード等を利用した提供の仕方については特に今回は触れられていません。

将来的な規制のあり方

 「最終的には特別則を廃止する」といった言葉に反応している方が多いと思われますが、これはあくまで最終的な目標であって、ここ5~10年とかで法整備しようと云う訳ではなさそうです。
 どのように管理していくかですが、いきなり自律的な管理が成り立つのは困難なので、その体制などを定めていく必要があります。
 「化学物質の取り扱いの規模が一定以上」との言葉ですが、まだ具体的には決まっていないようです。ですが、業種によってそのあり方を変えるようです。

専門家についてですが、
 ①原材料等のメーカー(有機則作業列挙で云う イ ?)
 ②最終製品のメーカー(同 ロ ?)
 ③最終製品のユーザー(同 イ、ロ除く所謂取り扱い?)で必要になる知識が異なるだろうというとしています。

 必要となる知識として、
・化学物質のハザード情報含めラベル及びSDSの作成に必要となる知識全般
・様々な原材料の製造・使用に関するリスクアセスメントの実施方法(リスクの評価方法含む)等に関する知識
・様々な原材料に係る発散抑制のための工学的対策に関する知識
・様々な原材料に係る保護具に関する知識(選択、管理、使用方法、教育等)
・化学物質の管理状況についてのモニタリングに関する知識(個人ばく露測定や作業環境測定、健康影響に関するモニタリング) が挙げられています。

現状の衛生関係の資格というと
 ①インダストリアルハイジニスト(「日測協のハイジニスト」とは言っていません)
 ②労働衛生コンサルタント
 ③作業環境測定士
 ④衛生工学衛生管理者、衛生管理者
 ⑤作業主任者
 ⑥化学物質管理者(現在はまだ通達レベル)
が挙げられます。

(ここからは私見)
 求める知識を有している資格というと①が該当します。日本でIOHAの認証を受けている日測協のオキュペイショナルハイジニストではまだ人数が少ない状態です。
 ②については国内の国家資格としては労働衛生最高峰ですが、レベルが様々で、コンサルタント持っているからこれらの相談をお任せできるか疑問です。
 ③もレベルが様々ですが、対応できる人も多くいます。ただ外部に対して明確なレベルを表すものがないので、メーカー(事業場)として誰に、どこに依頼するか悩むでしょう。
 ④は無理と思います。衛生管理者の試験や衛生工学衛生管理者の講習でも、リスクアセスメントができるまでのレベルを求めていません。
 ⑤も同様です。「労働衛生とは」といったところを学んだ程度なので難しい(荷が重い)と思います。
 ⑥は通達で、リスクアセスメントの技術的な事項の相談窓口として養成するように事業場に求めています。そういった意味では、一番自律的管理に近い素養を持っていると思われます。また、この化学物質管理者は今後選任義務となります。今後役割が拡大しそうです。

 この化学物質管理者は、今までリスクアセスメントの一員としてでしたが、今後は管理の考え方の元となる各特別則に係る法律についても学ぶ必要がありそうです。
 事業場は、リスクアセスメントの物質も増えそうなので、化学物質管理者の育成を積極的に考えた方がよいかもしれません。

職場における化学物質等の管理のあり方検討会報告書(案)

今年の1月ですが、厚生労働省で検討していた「職場における化学物質等の管理のあり方」の中間とりまとめが公表されました。
また、報告書(案)も議論前ではありますが、検討会の資料でアップされていました。

化学物質等の管理のあり方検討会(案)

議事録がでましたら、改めて記事に書いていこうと思いますが、具体的になってきました。
「中間とりまとめ」については公表されて時間が経っていますので、他のサイトで見ていただければと思います。

社内の担当者として、
化学物質のリスクアセスメントで選任することとなっている「化学物質管理者」、通達で選任が望まれている「保護具着用管理責任者」の選任が義務化されそうです(上記案のP14~15)

特化則の適用除外の条件が出てきました。(P21)

繰り返しますが、まだ案です。これから更に議論されて変更があると思います。
議事録がでましたら、追記または詳細を説明していこうと思います。

2019年度第3回化学物質のリスク評価検討会(ばく露評価小検討会)公開部分議事録


https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08315.html

議題
ばく露実態調査対象物質の測定方法等について
 測定分析手法の開発が困難な物質の取り扱いについて

ばく露評価ガイドラインの改定について

資料ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07855.html

測定分析手法の開発が困難な物質の取り扱いについて

試料空気を液体によって方法は可能ですが、捕集液自体に危険性、有害性があるものがあります。
作業環境測定のように、作業場に置いて測定するのなら、危険性は低いですが、ばく露測定になりますと、作業者の襟元に液体(例えば水酸化ナトリウム溶液)の入った容器を取り付ける必要があります。
それは万が一のことを考えると危険なため、別の方法を検討しているところですが、難しいようです。

他の理由には、普通の分析機関には置かないような高額な機器が必要になるケースがあります。それは、機器の導入を分析機関に強いるのは現実的ではないだろうという意見があります。

以上を踏まえつつ、可能な範囲でばく露レベルの把握に努める。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000566373.pdf

ばく露評価ガイドラインの改定について

「TLV-ceiling」の考え方について
物質によってはCeilingしか設定されていないものもあるので、そのceilingの値をどのように評価に結び付けるか。
方向としては、TWAの評価の指標として用いるのではなく、スポット測定(15分測定)の評価に用いる予定。
cilingは、瞬間的でもceilingを超える濃度になることがないことを確認することが必要ですが、簡易測定器を用いない限り把握が困難です。
そのため、今まで確定している測定方法に盛り込むために、見解を示しています。

以上、大まかな内容?さわりを書きました。
より詳細なことは直接議事録をご覧ください。

2019年度第2回化学物質のリスク評価検討会議事録

https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=A_zqy71Zu96MQcWRY

次 第
1.リスク評価対象物質のリスク評価について
  トリクロロ酢酸
  テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)
2.リスク評価において許容濃度やTLV-TWAの設定がない場合の対応について

1.リスク評価対象物質のリスク評価について

 発がん性があると考えられる物質について、法規制の是非を話し合う検討会です。
 トリクロロ酢酸は、ばく露調査の結果、気中濃度が定量下限を下回っていました。経気道ばく露が低かったことと、経皮吸収の勧告がないので、初期リスク評価終了となりました。
 チラウムはもう少し詳しい調査が必要となりました。

2.リスク評価において許容濃度やTLV-TWAの設定がない場合の対応について

まず、資料を貼り付けます。

リスク評価において許容濃度や TLV-TWA の設定がない場合の対応について(案) (TLV-STEL 又は TLV-Ceiling の値のみの場合の取り扱い)

1 対応方針(案)
① 二次評価値の決定に当たり、許容濃度や TLV-TWA の設定がない場合は、 ACGIH の TLV-STEL 又は TLV-Ceiling も考慮することを明確化。
② ACGIH の TLV-STEL 又は TLV-Ceiling に基づき二次評価値を決定する場合 は、比較対象となるばく露レベルとして、急性ばく露に係る評価値に対応する 短時間でのばく露レベルの値に近似しうるものとして、スポット測定により得 られる作業毎のばく露最大値をばく露レベルとする。

2 対応方針を踏まえた各種文書の改正 いずれの文書も上記の対応方針に沿って修正。特に TLV-Ceiling 等の位置付けに ついては、「リスク評価の手法」において下記②のとおり取り扱うことを検討。
①「国が行う化学物質等による労働者の健康障害防止に係るリスク評価実施要 領」の改正(資料2-2)
②「リスク評価の手法」(参考3-3)の改正 (有害性評価小検討会で検討(次回未定)) 許容濃度や TLV-TWA の設定がない場合は、以下に記載の優先順位により、最 新の知見を考慮して値を採用する。
a 米国の REL、ドイツの MAK、英国の WEL、ACGIH の TLV-STEL 又は TLV-Ceiling その他の外国機関において定められた職場環境に関する濃度基 準をもとに決定する。(※下線部を追記) (b~dは省略)
③労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン(参考3-2)の改正 (ばく露評価小検討会で検討(次回 11 月 18 日開催予定))

検討会は、上記資料の用語の確認、認識のすり合わせがメイン。
ほか追記したほうがよい文章や言い回しを調整。
内容について、大筋は変更なし。

用語の説明は、後日あらためて。

2019年度第1回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会議事録

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08121.html

議 題

  1. がん原性指針対象物質等の検討について
      アクリル酸メチル【新規】
     アクロレイン【新規】
     メタクリル酸2,3-エポキシプロピル【既存/測定分析手法等】
  2. マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置の検討について
  3. 作業環境測定基準の見直し等について(時間がないため割愛)
  4. 外部放射線による線量当量率又は線量当量

気になるところ

マンガンは金属で、鉄に含まれています。
ですので、溶接に際し、母材や溶接棒(ワイヤー)にも入ってます。
溶接で発生する煙(溶接ヒューム)にも入っています。
法規制の対象となるのは、マンガンとその化合物ですが、すべての化合物が対象と云う訳ではなく、塩基性酸化マンガンは対象外です。

溶接ヒュームには酸化マンガンが含まれています。
酸化マンガンは
 ・酸化マンガン(II) (一酸化マンガン) – MnO
 ・酸化マンガン(II,III) – Mn3O4
 ・酸化マンガン(III) – Mn2O
3
 ・二酸化マンガン (酸化マンガン(IV)) – MnO2
 ・酸化マンガン(VI) (マンガン酸塩) – MnO3
 ・酸化マンガン(VII) – Mn2O7
         があります(Wikipediaより)
青字は法規制対象外となる塩基性酸化マンガンですが、規制がかかる酸化マンガンも含んでいます。

欧米と日本の違い

許容濃度(労働者が1 日8 時間、1 週間40 時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に暴露される場合に、当該有害物質の平均暴露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度)の違い
  EC(欧州科学委員会)      レスピラブル 0.05 mg/m3
                  インハラブル 0.2 mg/m3    
  ACGIH(米国労働衛生専門家会議)レスピラブル 0.02mg/m3
                  インハラブル 0.1 mg/m3 
  産業衛生学会(日本)      0.2mg/m3
   ※レスピラブル粒子(吸入性粉じん)・・・肺胞まで届く細かい粒子
    ソラシック粒子(咽頭通過性粉じん)・・・気管まで届く粒子
    インハラブル粒子(吸引性粉じん)・・・鼻や喉で止まる粒子
  日本は粒子のおおきさを定めていません。

塩基性酸化マンガンの取り扱い
  ECとACGIH 規制
  日本       対象外

日本は、これらの基準を欧米に合わせるか検討しているところです。
今まで溶接作業は粉じん障害防止規則で規定されていますが、今後の方向性如何によっては管理が厳しくなる可能性があるので、動向は要チェックです。

第5回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会ワーキンググループ 議事録(2019.10.16)

https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=f4DD39bTRVgfX6vtY

「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の技術的事項について」

令和元年6月4日開会

  • 解体する建築物内に含有する石綿の事前調査について
  • 石綿の事前調査を行う者の講習制度等
  • 石綿含有分析を行う者の講習制度等
  • 事前調査結果の記録の内容
  • 保存期間 などなど