金属ヒュームと溶接ヒューム

この記事は、「ガス切断と溶接ヒューム」を整理したものです。
これで前の記事のぐだぐだなところが整理されました。

金属アーク溶接等とは
 被覆アーク溶接、(半)自動溶接(炭酸ガス溶接、MAG溶接、MIG溶接のこと)、TIG溶接、スタッド溶接、プラズマ切断、ガウジングなど、アーク(稲妻みたいなもの)で金属を熔かして溶接や溶断、溝堀する作業です。
 この金属アーク溶接等に該当すると、「溶接ヒューム」として特化則の規制を受け、対応する必要があります。

 金属アーク溶接等に該当しないものは、圧着溶接(金属同士を密着させ通電し接合する。スポット溶接機、シーム溶接、プロジェクション溶接などが該当)、ガス溶接(アセチレン等可燃性ガスを燃焼させ、その熱で接合する)、電気炉等による金属の溶融があります。ここで発生するヒュームを金属ヒュームとします。

 上の図の最後、「対象外」としていますが、あくまで粉じん則の別表に該当しないという意味です。溶接ヒュームのように瞬間的に金属が蒸発する、金属が液体となる温度ではないので、溶接ヒュームや溶融ヒュームとしての対策は不要と考えられます。
 「防じんマスクの選択、使用等について」で金属ヒュームが発生する作業は粒子捕集効率がクラス2以上の防じんマスクを使用すること(別表の表)となっていますので、従う必要があります。

 聞いたところ、あくまで塩基性酸化マンガン(酸化マンガン(MnO)、三酸化二マンガン(Mn2O3))と溶接ヒュームを規制する目的で、研磨やガス切断を特化物で法規制する目的ではないとのことでした。
 前にも書きましたが、こういったことは通達やQ&Aで告知して欲しいですね。所轄の監督署によって判断が異なる場合がありますので、ご注意ください。

投稿者: 管理人 ごじら

労働安全衛生コンサルタント(機械・衛生工学) 作業環境測定士から始まり、健康診断の集団検診の事業場様対応窓口を経て衛生管理者や作業主任者、化学物質リスクアセスメントの講師などをやっております。開業予定は2024年目標!

「金属ヒュームと溶接ヒューム」への3件のフィードバック

  1. 金属ヒュームが発生する又はおそれのある作業について、図を見ますと

    ステンレス等マンガンを1%超えて含有する金属の
    「製鉄」だと、特化則(マンガン及びその化合物)の規制あり
    「ガス溶断、レーザー切断等」だと、特化則(マンガン及びその化合物)の規制なし

    とあります。
    この違いに関して、根拠となる資料等がありますでしょうか。
    教えていただけると幸いです。

    1. 製鉄に関するマンガンの解釈は、改正特化則等Q&Aの問④に書かれてます。 https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000727559.pdf

      「ガス溶断、レーザー切断等」だと、特化則(マンガン及びその化合物)の規制なしについては、明文化されていませんが、厚生労働省の方から、
      「溶接ヒュームとして特化則で規制するのではなく、従来通り粉じん則で対応する」と聞いてます。
      ですが、塩基性酸化マンガンが特化則で対象になるので、ガス溶断、レーザー切断で発生する金属ヒューム内に塩基性酸化マンガンが含まれています。副次的に発散する特化物は特化則の第5条に従う必要があります。
      では実際にこの件について労働基準監督署が是正勧告を行っているかというと、指摘していません。
      ガス溶断、レーザー切断を実施している事業場に対して、第5条に該当することを話してよいかと、所轄の労働局の労働衛生専門官に聞くと、「その件は話さないでほしい」といわれています。

      というところまでが、私の知るところです。
      通達や正式な解釈を出してほしいと局の人に話しても、私だけの意見では出ないようです。
      是非お勤め所轄の労働局に質問してください。そして正式な解釈を達で出してほしいと訴えてください。
      多くの意見、要望がでると、達が出るそうです。
      是非、お願いいたします。

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