労災保険を利用した二次健康診断

労災保険・・・労働者災害補償保険制度の略
ちなみに、労働保険は、労災保険と雇用保険(失業保険の名称が変わり、雇用保険になりました)の総称です。

二次健康診断は、職場で行う定期健康診断等の結果、
(1)血圧検査
(2)血中脂質検査
(3)血糖検査
(4)腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定
以上の項目のすべてで異常の所見が認められた場合、労災保険を使って二次健康診断を受けることができます。ただし、すでに脳や心臓に疾患が見られる人は対象になりません。また、異常値でなくても、産業医が検査が必要と判断した場合は対象になります。
疾患が見られる場合は、治療が必要なので、労災保険ではなく健康保険で治療を行ってください。

じゃあ、この二次健康診断ってなに?
脳血管と心臓の状態を把握するために必要な検査で、具体的には、次の検査を行います。
(1)空腹時血中脂質検査
(2)空腹時血糖値検査
(3)ヘモグロビンA₁c検査
(4)負荷心電図検査または胸部超音波検査(心エコー検査)のいずれか一方の検査
(5)頸部超音波検査(頸部エコー検査)
(6)微量アルブミン尿検査
これに係る費用がこの労災保険から給付されます。

職場で健康診断を受けて、受けっぱなしではなく、そのまま通常勤務してよいかを判断しなければなりません。
健康診断の個人票に医師の名前と判子が押してありますが、これは安衛則第51条の2の、医師等からの意見聴取に該当しません。現場のことを把握している産業医に判断してもらい、その結果を個人票に記入しましょう。
産業医がいない労働者50人未満の事業場は、産業保健総合支援センターにご相談ください(原則無料)。

昔、健康診断にかかわる仕事をしていたとき、受診した事業場で労災二次健診に該当する人のリストを持って、その事業場担当者に受診勧奨してましたが、

「労災保険使うと、次から掛け金高くなるから使わない」

とよく云われました。
この二次健診に係る給付は、労災保険料額の増減に係るメリット制の対象にならないので、使ったからといって、掛け金があがることはありませんので、利用して、労働者の脳血管、心臓疾患の防止にお役立てください。(令和2年4月に労働局に再確認済み)