これからの作業環境測定(想像)

2022/4/24時点

特別則が廃止になると作業環境測定をしなくてよいことになるのではないか?といわれていますが、おそらく作業環境測定の扱いはこのようになるのではないかと思われます。
まだ厚労省から詳細な通達が出ていないので、画像が独り歩きしないように「複製不許可」のウォーターマークを付けています。

青色の塗りつぶしは令和5年4月1日から施行される予定(未告示)のところ
赤色の塗りつぶしは令和6年4月1日から施行される予定(未告示)のところ
白抜きの枠は従来からある項目で、今後も変わらないところです。

前から話が出ていました特別則の廃止は、無条件に廃止になるのではなく、管理が適切に行われている事業場のみ、都道府県労働局長の許可を得ないと無理のようです。

まあ、妥当な対応ですね。
「専属の化学物質管理専門家」の配属が必須のようですが、産業医のような扱いになるのか、そのコストと特別則の適用除外が釣り合うのかはしばらく様子を見た方がよさそうです。

令和5年、6年の安衛則等改正

化学物質の管理のあり方検討会報告に基づき、段階的に法改正されます。
告示はまだですが、項目は次の通りです。

  1. 事業場における化学物質に関する管理体制の強化
  2. 化学物質の危険性・有害性に関する情報の伝達の強化
  3. リスクアセスメントに基づく自律的な化学物質管理の強化
  4. 化学物質の自律的な管理の状況に関する労使等のモニタリング
  5. 化学物質に起因するがんの把握の強化

詳細は後日追って記事にしていきますが、ここではいつ施行されるか書きます。

1.事業場における化学物質に関する管理体制の強化

1-1 化学物質管理者の選任の義務化    令和6年4月1日施行予定
1-2 保護具着用管理責任者の選任の義務化 令和6年4月1日施行予定
1-3 雇入れ時等教育の拡充        令和6年4月1日施行予定

2.化学物質の危険性・有害性に関する情報の伝達の強化

2-1 SDS等による通知方法の柔軟化     公布日に施行予定
2-2 「人体に及ぼす作用」の定期確認及び更新 令和5年4月1日施行予定
2-3 SDS等による通知事項の追加及び含有率表示の適正化 令和6年4月1日施行予定
2-4 化学物質を事業場内で別容器等で保管する際の措置の強化 令和5年4月1日施行予定

3.リスクアセスメントに基づく自律的な化学物質管理の強化

3-1 リスクアセスメント結果等に係る記録の作成及び保存 令和5年4月1日施行予定

3-2 化学物質による労働災害発生事業場等への労働基準監督署長による指示 令和6年4月1日施行予定

3-3 リスクアセスメント対象物に係る事業場の義務
(1)労働者がリスクアセスメント対象物にばく露される濃度の低減措置
 ①労働者がリスクアセスメント対象物にばく露される程度について、最小限度にすること 令和5年4月1日施行予定
 ②ばく露管理設定物質については厚生労働大臣が定める濃度基準(ばく露管理値)以下とする 令和6年4月1日施行予定
(2)(1)に基づく措置の内容及び労働者のばく露の状況についての労働者の意見聴取、記録作成・保存
              (1)①に係る部分 令和5年4月1日施行予定
              (1)②に係る部分 令和6年4月1日施行予定
(3)リスクアセスメント対象物質以外の物質にばく露される濃度を最小限とする努力義務  令和5年4月1日施行予定
(4)リスクアセスメントの結果に基づき事業者が自ら選択して講じるばく露防止措置の一環としての健康診断の実施・記録作成等 令和6年4月1日施行予定
(5)がん原性物質の作業記録の保存 令和5年4月1日施行予定

3-4 化学物質への直接接触の防止
①健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質を製造し、又は取り扱う業務
        令和5年4月1日~令和6年3月31日 努力義務
        令和6年4月1日~          義務
②健康障害を起こすおそれがないことが明らかなもの以外の物質を製造し、又は取り扱う業務   令和5年4月1日~ 努力義務

4.化学物質の自律的な管理の状況に関する労使等のモニタリング

衛生委員会の府議事項の追加         令和5年4月1日施行予定

5.化学物質に起因するがんの把握の強化

がん等の遅発性疾病の把握の強化       令和5年4月1日施行予定

6.化学物質管理の水準が一定以上の事業場の個別規制の適用除外

令和5年4月1日施行予定
ただし、特化則等特別規則の適用を除外するには都道府県労働局長の認定が必要で、認定に必要な主な要件は次の通り。

・専属の化学物質管理専門家が配置されていること
・過去3年間に、各特別規則が適用される化学物質等による死亡又は休業4日以上の労働災害が発生していないこと
・過去3年間に、各特別規則に基づき行われた作業環境測定の結果が全て第1管理区分であったこと
・過去3年間に、各特別規則に基づき行われた特殊健康診断の結果、新たに以上所見があると認められる労働者がいなかったこと

7.作業環境測定結果が第3管理区分の事業場に対する措置の強化

令和6年4月1日施行予定
・第3管理区分の場合、外部の作業環境管理専門家の意見を聴く
・改善が困難と判断された場合、監督署へ届け出る
・改善されるまで、呼吸用保護具が適切に装着されていることを、1年以内に1回確認する  など

8.ばく露の程度が低い場合における健康診断の実施頻度の緩和

令和5年4月1日施行予定
有機溶剤、特定化学物質、鉛、四アルキル鉛に関する特殊健康診断の実施頻度について、作業環境管理やばく露防止対策等が適切に実施されている場合には、事業者は当該健康診断の実施頻度を1年以内ごとに1回に緩和できることとする。

結構盛沢山ですね。
検討会の議事録に書いていないことも改定内容に含まれているので、これから分かり次第追記していきます。



 

アーク溶接作業場の換気装置の設置届

 継続的にアーク溶接を行う屋内作業場には換気装置の設置が義務付けられています。
 では、その換気装置は労働安全衛生規則第86条に従い届出が必要か?

  不要です。

 確かに別表7の18号にはこのように書いてあり、届出が必要と読み取れなくもないです。私もそう読みました。

 これについては、県労働局からこのような趣旨の回答をいただきました。

  • 18号で書かれている全体換気装置は、5条の規定されている密閉設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置を特例許可で設置しない場合に設ける全体換気装置を対象としている。
  • 特化則28条の21で、「・・・第5条の規定にかかわらず、金属アーク溶接等作業において発生するガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備・・・を設けることを要しない。」としているので、溶接ヒュームは局所排気装置の設置義務はないので、(上の・に書いた)届出の事案に該当しない。

とのことでした。

金属ヒュームと溶接ヒューム

この記事は、「ガス切断と溶接ヒューム」を整理したものです。
これで前の記事のぐだぐだなところが整理されました。

金属アーク溶接等とは
 被覆アーク溶接、(半)自動溶接(炭酸ガス溶接、MAG溶接、MIG溶接のこと)、TIG溶接、スタッド溶接、プラズマ切断、ガウジングなど、アーク(稲妻みたいなもの)で金属を熔かして溶接や溶断、溝堀する作業です。
 この金属アーク溶接等に該当すると、「溶接ヒューム」として特化則の規制を受け、対応する必要があります。

 金属アーク溶接等に該当しないものは、圧着溶接(金属同士を密着させ通電し接合する。スポット溶接機、シーム溶接、プロジェクション溶接などが該当)、ガス溶接(アセチレン等可燃性ガスを燃焼させ、その熱で接合する)、電気炉等による金属の溶融があります。ここで発生するヒュームを金属ヒュームとします。

 上の図の最後、「対象外」としていますが、あくまで粉じん則の別表に該当しないという意味です。溶接ヒュームのように瞬間的に金属が蒸発する、金属が液体となる温度ではないので、溶接ヒュームや溶融ヒュームとしての対策は不要と考えられます。
 「防じんマスクの選択、使用等について」で金属ヒュームが発生する作業は粒子捕集効率がクラス2以上の防じんマスクを使用すること(別表の表)となっていますので、従う必要があります。

 聞いたところ、あくまで塩基性酸化マンガン(酸化マンガン(MnO)、三酸化二マンガン(Mn2O3))と溶接ヒュームを規制する目的で、研磨やガス切断を特化物で法規制する目的ではないとのことでした。
 前にも書きましたが、こういったことは通達やQ&Aで告知して欲しいですね。所轄の監督署によって判断が異なる場合がありますので、ご注意ください。

職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会(第12回議事録より)

第12回資料

3月に実施した検討会の議事録が8月にアップされました。
もう少し早くアップしてくれると嬉しいのですが。
第12回の議事録より云えることを少しだけ。

ラベル表示・SDS交付の義務拡大の進め方

 通知対象物質が674物質ですが、残りの物質の義務化を3年ほどかけて進めていくそうです。
 2021年度から毎年700物質程度増やしていき、2023年度には3018物質対応するようにするそうです。
 通知対象物質の674物質はリスクアセスメント対象となる数ですが、この増加した分も同様にリスクアセスメントの対象になるかは言及されていません。
 事業場からのアンケート結果から考えますと、毎年増える700物質に対応していくのは無理だと思います。リスクアセスメントの対象になるかは段階を踏んで増やされていくと思われます。
 二次元バーコード等を利用した提供の仕方については特に今回は触れられていません。

将来的な規制のあり方

 「最終的には特別則を廃止する」といった言葉に反応している方が多いと思われますが、これはあくまで最終的な目標であって、ここ5~10年とかで法整備しようと云う訳ではなさそうです。
 どのように管理していくかですが、いきなり自律的な管理が成り立つのは困難なので、その体制などを定めていく必要があります。
 「化学物質の取り扱いの規模が一定以上」との言葉ですが、まだ具体的には決まっていないようです。ですが、業種によってそのあり方を変えるようです。

専門家についてですが、
 ①原材料等のメーカー(有機則作業列挙で云う イ ?)
 ②最終製品のメーカー(同 ロ ?)
 ③最終製品のユーザー(同 イ、ロ除く所謂取り扱い?)で必要になる知識が異なるだろうというとしています。

 必要となる知識として、
・化学物質のハザード情報含めラベル及びSDSの作成に必要となる知識全般
・様々な原材料の製造・使用に関するリスクアセスメントの実施方法(リスクの評価方法含む)等に関する知識
・様々な原材料に係る発散抑制のための工学的対策に関する知識
・様々な原材料に係る保護具に関する知識(選択、管理、使用方法、教育等)
・化学物質の管理状況についてのモニタリングに関する知識(個人ばく露測定や作業環境測定、健康影響に関するモニタリング) が挙げられています。

現状の衛生関係の資格というと
 ①インダストリアルハイジニスト(「日測協のハイジニスト」とは言っていません)
 ②労働衛生コンサルタント
 ③作業環境測定士
 ④衛生工学衛生管理者、衛生管理者
 ⑤作業主任者
 ⑥化学物質管理者(現在はまだ通達レベル)
が挙げられます。

(ここからは私見)
 求める知識を有している資格というと①が該当します。日本でIOHAの認証を受けている日測協のオキュペイショナルハイジニストではまだ人数が少ない状態です。
 ②については国内の国家資格としては労働衛生最高峰ですが、レベルが様々で、コンサルタント持っているからこれらの相談をお任せできるか疑問です。
 ③もレベルが様々ですが、対応できる人も多くいます。ただ外部に対して明確なレベルを表すものがないので、メーカー(事業場)として誰に、どこに依頼するか悩むでしょう。
 ④は無理と思います。衛生管理者の試験や衛生工学衛生管理者の講習でも、リスクアセスメントができるまでのレベルを求めていません。
 ⑤も同様です。「労働衛生とは」といったところを学んだ程度なので難しい(荷が重い)と思います。
 ⑥は通達で、リスクアセスメントの技術的な事項の相談窓口として養成するように事業場に求めています。そういった意味では、一番自律的管理に近い素養を持っていると思われます。また、この化学物質管理者は今後選任義務となります。今後役割が拡大しそうです。

 この化学物質管理者は、今までリスクアセスメントの一員としてでしたが、今後は管理の考え方の元となる各特別則に係る法律についても学ぶ必要がありそうです。
 事業場は、リスクアセスメントの物質も増えそうなので、化学物質管理者の育成を積極的に考えた方がよいかもしれません。

職場における化学物質等の管理のあり方検討会報告書(案)

今年の1月ですが、厚生労働省で検討していた「職場における化学物質等の管理のあり方」の中間とりまとめが公表されました。
また、報告書(案)も議論前ではありますが、検討会の資料でアップされていました。

化学物質等の管理のあり方検討会(案)

議事録がでましたら、改めて記事に書いていこうと思いますが、具体的になってきました。
「中間とりまとめ」については公表されて時間が経っていますので、他のサイトで見ていただければと思います。

社内の担当者として、
化学物質のリスクアセスメントで選任することとなっている「化学物質管理者」、通達で選任が望まれている「保護具着用管理責任者」の選任が義務化されそうです(上記案のP14~15)

特化則の適用除外の条件が出てきました。(P21)

繰り返しますが、まだ案です。これから更に議論されて変更があると思います。
議事録がでましたら、追記または詳細を説明していこうと思います。

石綿障害予防規則等の一部改正について

令和2年7月に公布された改正石綿則ですが、この4月から施行になります。


その大まかなところを説明します。
図にまとめると次のようになります。

事前調査

 建築物、工作物又は船舶の解体工事、リフォーム・修繕などの改修工事(封じ込め又は囲い込みを含む)を行うときは、石綿等の使用の有無を調査しなければならないとしています。

<事前調査の対象とならない作業>

  1. 木材、金属、石、ガラス等のみで構成されているもの、畳、電球等の石綿等が含まれていないことが明らかなものであって、手作業や電動ドライバー等の電動工具により容易に取り外すことが可能又はボルト、ナット等の固定具を取り外すことで除去又は取り外しが可能である等、当該材料の除去等を行う時に周囲の材料を損傷させるおそれのない作業
  2. 釘を使って固定する、又は刺さっている釘を抜く等、材料に、石綿が飛散する可能性がほとんどないと考えられる極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業。なお、電動工具等を用いて、石綿等が使用されている可能性のある壁面等に穴を開ける作業は、これには該当せず、事前調査を行う必要があること。
  3. 既存の塗装の上に新たに塗装を塗る作業等、現存する材料等の除去は行わず、新たな材料を追加するのみの作業
  4. 国土交通省等各省による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認された工作物、船舶の解体・改修の作業

石綿含有建材調査者

事前調査を行う者の要件に「一戸建て等石綿含有建材調査者」が新設されました。
・特定建築物石綿含有建材調査者
一般建築物石綿含有建材調査者(名称変更)
一戸建て等石綿含有建材調査者(新設)
 (一般戸建て住宅または共同住宅の内部に限定)
資格者の調査の実施は、令和5年10月1日から施行になりますが、それ以前であっても資格者が調査を行うことが望ましいとしています。

事前調査結果等の届出について

 今まで届出の義務はありませんでしたが、一定の規模以上の工事については、元請事業者が下請事業者に係る内容も含めて、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないようになりました。
<報告が必要となる工事>
①解体部分の床面積が80㎡以上の建築物の解体工事
②請負金額が材料費を含めた100万円以上の建築物の改修工事
③請負金額が材料費を含めた100万円以上の以下の次の工作物の解体・改修工事
 ・反応槽、加熱炉、ボイラー、圧力容器
 ・配管設備(給排水、換気、冷暖房、排煙設備等は除く)
 ・燃焼設備
 ・煙突  ほか

詳細については、解体等作業を対象とした説明等に参加することをお奨めします。

各種パンフレット(厚生労働省リンク)

局排に係る特例許可(特化則)

 特化則では、局所排気装置の性能要件が制御風速のものと、抑制濃度のものがあります。
 その抑制濃度の場合の設置届と特例許可について説明します。

 フローで書くとこのようになります。
 抑制濃度は「局所排気装置を設置する」→「抑制濃度が定められている場合」へ進みます。
 特例許可は「局所排気装置を設置しない」へ進んだ場合必要になります。
 ご覧のとおり面倒です。
 発散防止抑制装置については、特例許可を申請しても許可が下りない場合があります。この許可、不許可の基準は公表されていませんが、排気が屋内の場合は除ガス装置等出口に警報装置が必要といわれています。

 これだけ骨を折っても、作業環境測定は除外されませんのでご注意ください。

金属の沸点について

当方金属組成の専門家ではないので、学術的にどうなのか問われると答えられませんので質問はご遠慮ください。

自分のなかの、ぼや~としたところをまとめます。

水は沸点まで温度が上がらなくても蒸発します。
では金属はどうなの?

アーク等の温度と金属(一部)の沸点等をまとめてみました。

 温度はwiki先生に聞きました。
 アークの温度は電流、電圧条件で変わるので温度に幅がありますが、空気中に電気を流すのでそれなりの温度になります。アセチレンはガスの最適の燃焼温度が決まってくるので概ねこの温度になります。他の融点、沸点はサイトによって微妙に異なるので「概ね」の温度とお考えください。

 このように、アークとアセチレンの温度はかなり違います。アークは金属などの沸点に比べてかなり温度が高いので、一瞬で金属を沸騰させることができます。ですのでアーク溶接は著しく溶接ヒュームが発散するとして規制がかけられました。ガス切断もヒュームは出ますが、アークほどではないということで溶接ヒュームとはしないようです。

 参考として、別の法令である鉛について書きます。
 上の図で「鉛則で設備規制を分ける温度 450℃」とあります。
 鉛則では、この450℃を境に、鉛粉じんとして、鉛ヒュームとして、設置しなければならない設備の要件を分けています。(このような記述はどこにも書いていませんが、そのように聞いています。)
 鉛の融点は327℃なので、融点より少し高い温度から鉛ヒュームは発生するとし、規制されています。沸点の1749℃と比べるとかなり低い温度です。
 ほかの金属も融点から少し高いところからヒュームが発生するかは言えませんが、沸点に達していなくてもヒュームは発生すると考えてよさそうです。

 ではアセチレンバーナーで金属をあぶり続けると金属はすべて蒸発するか?
 試したことありませんが、おそらくバーナーの噴出力で溶けた鉄が吹き飛ばされてしまい、沸点まで金属の温度を上昇させることは出来ないのではないかと思います。ですが、取鍋で金属を溶解する製鉄所は注意が必要です。
 なお製鉄所でのステンレスの製鉄工程は、マンガンの規制対象となっています。

ガス切断と溶接ヒューム

こちらの記事は誤りが出てきましたので、記事を新たに書き直しました
そちらをご覧ください。

 改正特化則の施行前なので、大分情報が出てきました。
 ですが、重箱の隅をつつくようですが、曖昧なところも出てきました。

 例えば、金属アーク溶接等に該当しないガスやレーザーによる切断はどうするか?

 今までの法解釈を整理すると次のようになります。

金属アーク溶接等とは
 被覆アーク溶接、(半)自動溶接(炭酸ガス溶接、MAG溶接、MIG溶接のこと)、TIG溶接、スタッド溶接、プラズマ切断、ガウジングなど、アーク(稲妻みたいなもの)で金属を熔かして溶接や溶断、溝堀する作業です。
 この金属アーク溶接等に該当すると、「溶接ヒューム」として特化則の規制を受け、対応する必要があります。

 金属アーク溶接等に該当しないものは、圧着溶接(金属同士を密着させ通電し接合する。スポット溶接機、シーム溶接、プロジェクション溶接などが該当)、ガス溶接(アセチレン等可燃性ガスを燃焼させ、その熱で接合する)、電気炉等による金属の溶融があります。

「取り扱いで粉じんが発生*¹」しない*²」「特化則の規制なし*³
 粉じん則では、粉じんが発生する作業が具体的に示されていますが、特化則ではされていません(*1)。粉じん作業に該当する作業は粉じんが発生するといって差し支えないですが、粉じん作業に該当しない刃物(メタルソー、バイト、フライス、エンドミル等)で切削する作業、プレス成型(絞り、打ち抜き)、鍛造については明確に規制外とは言えません。(私見ですが、粉じんが発生しても、まず問題ないレベルだと思います。)(*2)

 特化則では副次的に、非意図的に発生した場合も規制されます。
 マンガンが1%超えて含有する金属をガス切断する場合、溶接ヒュームとして規制はされませんが、ガス燃焼による熱によって、副次的に塩基性酸化マンガン等が発生することが考えられます。
 ではその場合、マンガンとして規制され、作業環境測定等が必要になるのか?
 この件について、労働衛生専門官にお尋ねしたところ、まだそこまで議論されていないから答えられない。とのことでした。ただまあ、アークに比べて著しい発じんがないからガス切断は溶接ヒュームから除外されているので、溶接ヒュームより管理が厳しくなるとは考え難いところはあります。なので、ガス切断は粉じん則の別表3の防じんマスクを付けなければならない作業に該当するので、防じんマスクで対応すればよいのではないかと個人的に考えています。(*3)(のちに厚生労働省より見解がでるかもしれません。)

(R3.2.27追記)
 「マンガンの蒸気、粉じんが発生する作業は取り扱いに該当する。」とQ&Aにありました。つまり、マンガンを含有する金属をガス溶断、レーザー切断及び研磨など金属アーク溶接等作業に該当しない作業は上記のフロー図のとおり、マンガン及びその化合物として規制されるようです。ですので、作業環境測定や特殊健康診断を6ヶ月に1回、定期に実施しなければならない。と労働衛生専門官さんから回答もらいました。
 マンガンを含んだ金属はどのようなものがあるかといいますと、ステンレスが該当します。ステンレスもいろいろあり、そのうちSUS300番台はマンガンを2%以下、ニッケル5%以上含有しています。カトラリーのスプーン、フォークは18-8ステンレスを材料としていますが、これはSUS300番台のステンレスになります。ちなみに18-8の、「18」はクロム、「8」はニッケルの含有率を表しています。
 お恥ずかしい話し、今までステンレス加工の工場で、マンガンの測定の必要性を話してきませんでした。同様に労働衛生専門官さんも臨検に行ってマンガンの測定について指摘(是正勧告)したことがないと話していました。今後はSUS300番台のステンレス研磨作業については、マンガンとニッケルの作業環境測定が必要であるといえます。
 ちなみに、溶接ヒューム内にニッケルも含まれますが、そちらは溶接ヒューム(マンガン)として規制がかかるだけのようです。
 「蒸気、粉じんが発生する取り扱い作業」はどのような作業か、粉じん則の別表1に該当するものを対象として考えてよいか。と尋ねたところ、粉じん則と特化則は別なので、同様に判断してよいとは云えない。とのことでした。

 余談ですが、先ほどの労働衛生専門官さんとの話しで、
「金属を真っ赤になるまで加熱しプレスで押しつぶして加工すると、表面の金属が剥がれるように脱落します。おそらく酸化鉄だと思うんですが、加工する金属にマンガンを含んでいる場合、マンガンの対象になるんでしょうか?またとろける温度でなければヒュームは出ないと考えてよいのでしょうか?」
「あれはなんでしょうね~。酸化鉄ならマンガンではないと考えてよいと思いますが、その剥がれたものを分析しないと、明確に『出てない』とは云えませんね~。温度についてはそこまで議論が進んでいないのでなんとも言えませんね。」とのことでした。

追記(令和3年1月31日 管理人のメモ的なもの)
 コバルトの特化則規制で、当該粉じん等にばく露するおそれがないとして対象外とした作業の一部で、
 「コバルトを含有する合金をプレス成型(打ち抜きを除く)する作業、加熱せずに行う圧延作業」があります。
 裏を返すと、プレスによる打ち抜き、熱間圧延は対象となります。
 特化則は物質が違うと考え方も違うので、マンガンも同様と云う訳ではありませんが、参考まで。

追記(R3.10.23)
 書いたつもりが書いていなかったので、今更追記します。
 今回の法規制は溶接ヒュームを対象に定められています。
 金属ヒュームはガス切断、レーザー切断、グラインダー研磨など溶接ヒュームに該当しない作業についても僅かながらですが発生します。
 では、それらは塩基性酸化マンガンとして対応が必要なのか?
 結論からいうと、「不要」とのことでした。
 これらは従来の粉じん則での対策でよいと、伝手を頼って厚労省化学物質対策室に聞いてもらいました。
 溶接ヒュームは温度が高いため瞬間的に金属が蒸発し、多量の溶接ヒュームが発生します。ですので、この多量に発生する溶接に対して対策を強めた結果となります。