これからの作業環境測定(想像)

2022/4/24時点
2022/9/4追記

特別則が廃止になると作業環境測定をしなくてよいことになるのではないか?といわれていますが、おそらく作業環境測定の扱いはこのようになるのではないかと思われます。
まだ厚労省から詳細な通達が出ていないので、画像が独り歩きしないように「複製不許可」のウォーターマークを付けています。

青色の塗りつぶしは令和5年4月1日から施行される予定(未告示)のところ
赤色の塗りつぶしは令和6年4月1日から施行される予定(未告示)のところ
白抜きの枠は従来からある項目で、今後も変わらないところです。

前から話が出ていました特別則の廃止は、無条件に廃止になるのではなく、管理が適切に行われている事業場のみ、都道府県労働局長の許可を得ないと無理のようです。

まあ、妥当な対応ですね。
「専属の化学物質管理専門家」の配属が必須のようですが、産業医のような扱いになるのか、そのコストと特別則の適用除外が釣り合うのかはしばらく様子を見た方がよさそうです。

2022/9/4 追記
 画像 第3管理区分になった時の措置で
「①個人サンプリング法等による化学物質の濃度測定…」とありますが、これはCD測定ではなく、溶接ヒュームの測定で用いた呼吸用保護具選定のための測定を指すようです。
 流れとして次のようになりそうです。
 第3管理区分になり、改善が困難
    ↓
 措置を講じ、「第三管理区分措置状況届」を所轄監督署長に届け出る
    ↓
 個人サンプリング測定等を実施し、呼吸用保護具を選定する
 (測定値/濃度基準値=要求防護係数)
    ↓
 定期の作業環境測定及びマスクフィットテスト

◆マスクフィットテストが溶接ヒューム以外にも気体状物質にも適用になります。
 聞いた話しですが、防毒マスクに防じんフィルターを付け(防じん機能付き防毒マスク)、それでフィットファクターを計測するようです。
 その場合のマスクフィッティングテスターですが、
 ●柴田科学製
 計測粒子を変更できるので、それで漏れ率(フィルター以外のところからの漏れ込み)を計測する
 ●カノマックス、トランテック製(要確認)
 この両社製品は、帯電している粒子の有無で計測できるそうです。マスクのフィルターを通過する粒子は静電気を帯びているそうです。一方隙間から漏れ込む粒子は帯電していないので、帯電していない粒子を計測することで漏れ率を出すことができます。

令和5年、6年の安衛則等改正

化学物質の管理のあり方検討会報告に基づき、段階的に法改正されます。
告示はまだですが、項目は次の通りです。

  1. 事業場における化学物質に関する管理体制の強化
  2. 化学物質の危険性・有害性に関する情報の伝達の強化
  3. リスクアセスメントに基づく自律的な化学物質管理の強化
  4. 化学物質の自律的な管理の状況に関する労使等のモニタリング
  5. 化学物質に起因するがんの把握の強化

詳細は後日追って記事にしていきますが、ここではいつ施行されるか書きます。

1.事業場における化学物質に関する管理体制の強化

1-1 化学物質管理者の選任の義務化    令和6年4月1日施行予定
1-2 保護具着用管理責任者の選任の義務化 令和6年4月1日施行予定
1-3 雇入れ時等教育の拡充        令和6年4月1日施行予定

2.化学物質の危険性・有害性に関する情報の伝達の強化

2-1 SDS等による通知方法の柔軟化     公布日に施行予定
2-2 「人体に及ぼす作用」の定期確認及び更新 令和5年4月1日施行予定
2-3 SDS等による通知事項の追加及び含有率表示の適正化 令和6年4月1日施行予定
2-4 化学物質を事業場内で別容器等で保管する際の措置の強化 令和5年4月1日施行予定

3.リスクアセスメントに基づく自律的な化学物質管理の強化

3-1 リスクアセスメント結果等に係る記録の作成及び保存 令和5年4月1日施行予定

3-2 化学物質による労働災害発生事業場等への労働基準監督署長による指示 令和6年4月1日施行予定

3-3 リスクアセスメント対象物に係る事業場の義務
(1)労働者がリスクアセスメント対象物にばく露される濃度の低減措置
 ①労働者がリスクアセスメント対象物にばく露される程度について、最小限度にすること 令和5年4月1日施行予定
 ②ばく露管理設定物質については厚生労働大臣が定める濃度基準(ばく露管理値)以下とする 令和6年4月1日施行予定
(2)(1)に基づく措置の内容及び労働者のばく露の状況についての労働者の意見聴取、記録作成・保存
              (1)①に係る部分 令和5年4月1日施行予定
              (1)②に係る部分 令和6年4月1日施行予定
(3)リスクアセスメント対象物質以外の物質にばく露される濃度を最小限とする努力義務  令和5年4月1日施行予定
(4)リスクアセスメントの結果に基づき事業者が自ら選択して講じるばく露防止措置の一環としての健康診断の実施・記録作成等 令和6年4月1日施行予定
(5)がん原性物質の作業記録の保存 令和5年4月1日施行予定

3-4 化学物質への直接接触の防止
①健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質を製造し、又は取り扱う業務
        令和5年4月1日~令和6年3月31日 努力義務
        令和6年4月1日~          義務
②健康障害を起こすおそれがないことが明らかなもの以外の物質を製造し、又は取り扱う業務   令和5年4月1日~ 努力義務

4.化学物質の自律的な管理の状況に関する労使等のモニタリング

衛生委員会の府議事項の追加         令和5年4月1日施行予定

5.化学物質に起因するがんの把握の強化

がん等の遅発性疾病の把握の強化       令和5年4月1日施行予定

6.化学物質管理の水準が一定以上の事業場の個別規制の適用除外

令和5年4月1日施行予定
ただし、特化則等特別規則の適用を除外するには都道府県労働局長の認定が必要で、認定に必要な主な要件は次の通り。

・専属の化学物質管理専門家が配置されていること
・過去3年間に、各特別規則が適用される化学物質等による死亡又は休業4日以上の労働災害が発生していないこと
・過去3年間に、各特別規則に基づき行われた作業環境測定の結果が全て第1管理区分であったこと
・過去3年間に、各特別規則に基づき行われた特殊健康診断の結果、新たに以上所見があると認められる労働者がいなかったこと

7.作業環境測定結果が第3管理区分の事業場に対する措置の強化

令和6年4月1日施行予定
・第3管理区分の場合、外部の作業環境管理専門家の意見を聴く
・改善が困難と判断された場合、監督署へ届け出る
・改善されるまで、呼吸用保護具が適切に装着されていることを、1年以内に1回確認する  など

8.ばく露の程度が低い場合における健康診断の実施頻度の緩和

令和5年4月1日施行予定
有機溶剤、特定化学物質、鉛、四アルキル鉛に関する特殊健康診断の実施頻度について、作業環境管理やばく露防止対策等が適切に実施されている場合には、事業者は当該健康診断の実施頻度を1年以内ごとに1回に緩和できることとする。

結構盛沢山ですね。
検討会の議事録に書いていないことも改定内容に含まれているので、これから分かり次第追記していきます。