3月に実施した検討会の議事録が8月にアップされました。
もう少し早くアップしてくれると嬉しいのですが。
第12回の議事録より云えることを少しだけ。
ラベル表示・SDS交付の義務拡大の進め方
通知対象物質が674物質ですが、残りの物質の義務化を3年ほどかけて進めていくそうです。
2021年度から毎年700物質程度増やしていき、2023年度には3018物質対応するようにするそうです。
通知対象物質の674物質はリスクアセスメント対象となる数ですが、この増加した分も同様にリスクアセスメントの対象になるかは言及されていません。
事業場からのアンケート結果から考えますと、毎年増える700物質に対応していくのは無理だと思います。リスクアセスメントの対象になるかは段階を踏んで増やされていくと思われます。
二次元バーコード等を利用した提供の仕方については特に今回は触れられていません。
将来的な規制のあり方
「最終的には特別則を廃止する」といった言葉に反応している方が多いと思われますが、これはあくまで最終的な目標であって、ここ5~10年とかで法整備しようと云う訳ではなさそうです。
どのように管理していくかですが、いきなり自律的な管理が成り立つのは困難なので、その体制などを定めていく必要があります。
「化学物質の取り扱いの規模が一定以上」との言葉ですが、まだ具体的には決まっていないようです。ですが、業種によってそのあり方を変えるようです。
専門家についてですが、
①原材料等のメーカー(有機則作業列挙で云う イ ?)
②最終製品のメーカー(同 ロ ?)
③最終製品のユーザー(同 イ、ロ除く所謂取り扱い?)で必要になる知識が異なるだろうというとしています。
必要となる知識として、
・化学物質のハザード情報含めラベル及びSDSの作成に必要となる知識全般
・様々な原材料の製造・使用に関するリスクアセスメントの実施方法(リスクの評価方法含む)等に関する知識
・様々な原材料に係る発散抑制のための工学的対策に関する知識
・様々な原材料に係る保護具に関する知識(選択、管理、使用方法、教育等)
・化学物質の管理状況についてのモニタリングに関する知識(個人ばく露測定や作業環境測定、健康影響に関するモニタリング) が挙げられています。
現状の衛生関係の資格というと
①インダストリアルハイジニスト(「日測協のハイジニスト」とは言っていません)
②労働衛生コンサルタント
③作業環境測定士
④衛生工学衛生管理者、衛生管理者
⑤作業主任者
⑥化学物質管理者(現在はまだ通達レベル)
が挙げられます。
(ここからは私見)
求める知識を有している資格というと①が該当します。日本でIOHAの認証を受けている日測協のオキュペイショナルハイジニストではまだ人数が少ない状態です。
②については国内の国家資格としては労働衛生最高峰ですが、レベルが様々で、コンサルタント持っているからこれらの相談をお任せできるか疑問です。
③もレベルが様々ですが、対応できる人も多くいます。ただ外部に対して明確なレベルを表すものがないので、メーカー(事業場)として誰に、どこに依頼するか悩むでしょう。
④は無理と思います。衛生管理者の試験や衛生工学衛生管理者の講習でも、リスクアセスメントができるまでのレベルを求めていません。
⑤も同様です。「労働衛生とは」といったところを学んだ程度なので難しい(荷が重い)と思います。
⑥は通達で、リスクアセスメントの技術的な事項の相談窓口として養成するように事業場に求めています。そういった意味では、一番自律的管理に近い素養を持っていると思われます。また、この化学物質管理者は今後選任義務となります。今後役割が拡大しそうです。
この化学物質管理者は、今までリスクアセスメントの一員としてでしたが、今後は管理の考え方の元となる各特別則に係る法律についても学ぶ必要がありそうです。
事業場は、リスクアセスメントの物質も増えそうなので、化学物質管理者の育成を積極的に考えた方がよいかもしれません。