有機溶剤を含む塗料や化学薬品は、火災が発生するとより燃え広がる性質があります。
大量(指定数量以上)に保管している会社は、消防法に基づいて届け出て、しかるべき方法、設備で管理しなければなりません。
大量ではないがそれなりの量(指定数量の1/5以上)を保管している会社は市町村で定めている条例に従って管理しなければなりません。
- 危険物表で定める数量以上の危険物は、定められた場所以外で貯蔵し又は取り扱うことはできません。
貯蔵所、製造所又は取扱所を設置する場合は、それを設置する地域の市町長に申請し、許可を受ける必要があります。 - 上記施設での危険物の取り扱いは、危険物取扱者(免状所有者)が行い、危険物取扱者以外の者が取り扱う場合は、危険物取扱者の立ち会いが必要となります。
- 危険物表で定める数量以上の危険物を貯蔵所、取扱所以外の場所で10日以内の期間に限って仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、その場所を管轄する消防長又は消防署長の承認を受けなければなりません。
- 危険物表で定める数量未満で、その数量の五分の一以上の危険物を取り扱う場合は、市町の定めた火災予防条例により消防長又は消防署長にあらかじめ届け出なければなりません。
指定数量とは?
普通の事業場で使われると思われる、第4類の引火性液体について表にしました。「例」は広島大学様のサイトを参考にさせていただきました。
そもそも、「引火性液体」ってなに?という方は、こちら(図解でわかる危険物取扱者講座)をご覧ください。
消防法では
「指定数量以上の危険物は、貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵し、または製造所、貯蔵所および取扱所以外の場所でこれを取り扱ってはならない」(第10条)
と定めています。
なので、指定数量以上保管する場合、「危険物貯蔵取扱所」としての届け出が必要になります。
一方、指定数量未満の場合は市町村条例に従います。指定数量1/5以上ならば「少量危険物貯蔵取扱所」としての届け出が必要です。
「この塗料って、第なに石油類なんだろう?」
大抵、容器に貼り付けてあるラベルに書いてあります。
もし書いていなければ、安全データシート(SDS)を取り寄せましょう。
SDSはA4サイズで5~6枚から成ります。
塗料等の取り扱い店に云えば貰えます。
このSDSには「適用法令」の欄がありますので、そこに書いてあります。
計算方法
例えば薬品倉庫に次の製品が入っています。
品名 | 類別 | 指定数量 | 保管量 | |
ガソリン | 第1石油類 | 200L | 10L×2缶 | 20L |
灯油 | 第2石油類 | 1000L | 18L×4タンク | 72L |
ラッカーシンナー | 第1石油類 | 200L | 18L×5缶 | 90L |
合成油脂エナメル塗料 | 第3石油類 | 2000L | 18L×20缶 | 360L |
計算のお約束として、
一斗缶 18L ← 内容量表示がkgでも、一律18Lと計算する
ドラム缶 200L
たとえ半分しか入っていなくても満量とする
含有率が低くても、満量として計算する
↑ 例 トルエンが10%入っている一斗缶は、1.8Lとするのではなく、
18Lとして計算する
計算式
ガソリン 灯油 ラッカーシンナー 合成樹脂エナメル塗料
20/200+72/1000+90/200+360/2000=0.802
合計が0.2以上1未満ならば少量危険物貯蔵取扱所として、1以上ならば、危険物貯蔵取扱所としての届け出が必要となります。
必要な掲示物等は消防署にご相談ください。
危険物貯蔵取扱所を届け出るなら、危険物取扱者の国家資格者が必要です。
少量危険物貯蔵取扱所は法律上資格者は不要ですが、有資格者をおいておいたほうがよいでしょう。