有機則、特化則、鉛則などの法令で、局所排気装置等の定期自主検査の実施が定められています。
その項目に、「吸気及び排気の能力」があります。
これは、吸引していることを確認するのではなく、法で定める能力(制御風速又は抑制濃度)が維持できているか確認することが必要です。
制御風速の測定
必要な道具:発煙管(スモークテスター)、メジャー、熱線式風速計
風速計は他に、プロペラの回転数で測るもの(ベーン式)もありますが、測定範囲が0.2m/sからなので適しません。
囲い式フードの場合
フードの開口面で吸引気流を風速計で測定し、その最小風速が法令で定める風速以上あるか。有機則の場合、0.4m/s以上です。
外付け式フードの場合
フードより一番遠い発生源から、フードに向かう風速の最小風速が法令で定める風速以上あるか。有機則の場合、側方吸引(横向きに吸い込まれる)で0.5m/s以上です。
外付け式フードは横風の影響を受けやすいので、、上の測定と併せて、排気性能の管理のため、フードの開口面で測定しておくことをお奨めします。
レシーバー式フードの場合
回転体により随伴気流が発生する場合、または有害物の飛散・拡散方向が決まっている場合は、受け止める方向にあるフードの開口面で風速を測ります。
定める能力は形状によってことなるので、ここでは両頭グラインダーの測定箇所を例にだして、詳細は割愛します。
抑制濃度の測定
抑制濃度は、制御風速とは違い、吸引気流で管理するのではなく、フードから漏洩する有害物質の濃度が抑制濃度以下で管理する手法です。
フードへの吸引気流が生じていることが条件ですが、漏洩してくる有害物の濃度が抑制濃度より低ければ、制御風速より小さい風速で管理してもよいという制度です。
ある意味、理屈にあった規則と云えます。
しかし、抑制濃度を測るには、測定機関に依頼しないと出来ないという欠点があります。
では、毎回年に1回の定期自主検査時には業者を呼んで抑制濃度を測定しなければいけないかと云う訳ではありません。
告示に、
「(略)局所排気装置の性能が確保されている場合の測定位置における制御風速をあらかじめ測定により明らかにしておき、 検査の場合、風速を測定し、前記風速と比較することにより局所排気装置の性能の有無を検査しても差し支えない。」としている。 (昭和47年9月18日 基発第591号)
この時の風速ですが、最低限の気流については触れられていません。
ですが、吸引気流が正しくフード方向に向かっており、かつ横風等妨害気流がないことに留意してください。