2019年度第2回化学物質のリスク評価検討会議事録

https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=A_zqy71Zu96MQcWRY

次 第
1.リスク評価対象物質のリスク評価について
  トリクロロ酢酸
  テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)
2.リスク評価において許容濃度やTLV-TWAの設定がない場合の対応について

1.リスク評価対象物質のリスク評価について

 発がん性があると考えられる物質について、法規制の是非を話し合う検討会です。
 トリクロロ酢酸は、ばく露調査の結果、気中濃度が定量下限を下回っていました。経気道ばく露が低かったことと、経皮吸収の勧告がないので、初期リスク評価終了となりました。
 チラウムはもう少し詳しい調査が必要となりました。

2.リスク評価において許容濃度やTLV-TWAの設定がない場合の対応について

まず、資料を貼り付けます。

リスク評価において許容濃度や TLV-TWA の設定がない場合の対応について(案) (TLV-STEL 又は TLV-Ceiling の値のみの場合の取り扱い)

1 対応方針(案)
① 二次評価値の決定に当たり、許容濃度や TLV-TWA の設定がない場合は、 ACGIH の TLV-STEL 又は TLV-Ceiling も考慮することを明確化。
② ACGIH の TLV-STEL 又は TLV-Ceiling に基づき二次評価値を決定する場合 は、比較対象となるばく露レベルとして、急性ばく露に係る評価値に対応する 短時間でのばく露レベルの値に近似しうるものとして、スポット測定により得 られる作業毎のばく露最大値をばく露レベルとする。

2 対応方針を踏まえた各種文書の改正 いずれの文書も上記の対応方針に沿って修正。特に TLV-Ceiling 等の位置付けに ついては、「リスク評価の手法」において下記②のとおり取り扱うことを検討。
①「国が行う化学物質等による労働者の健康障害防止に係るリスク評価実施要 領」の改正(資料2-2)
②「リスク評価の手法」(参考3-3)の改正 (有害性評価小検討会で検討(次回未定)) 許容濃度や TLV-TWA の設定がない場合は、以下に記載の優先順位により、最 新の知見を考慮して値を採用する。
a 米国の REL、ドイツの MAK、英国の WEL、ACGIH の TLV-STEL 又は TLV-Ceiling その他の外国機関において定められた職場環境に関する濃度基 準をもとに決定する。(※下線部を追記) (b~dは省略)
③労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン(参考3-2)の改正 (ばく露評価小検討会で検討(次回 11 月 18 日開催予定))

検討会は、上記資料の用語の確認、認識のすり合わせがメイン。
ほか追記したほうがよい文章や言い回しを調整。
内容について、大筋は変更なし。

用語の説明は、後日あらためて。

2019年度第1回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会議事録

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08121.html

議 題

  1. がん原性指針対象物質等の検討について
      アクリル酸メチル【新規】
     アクロレイン【新規】
     メタクリル酸2,3-エポキシプロピル【既存/測定分析手法等】
  2. マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置の検討について
  3. 作業環境測定基準の見直し等について(時間がないため割愛)
  4. 外部放射線による線量当量率又は線量当量

気になるところ

マンガンは金属で、鉄に含まれています。
ですので、溶接に際し、母材や溶接棒(ワイヤー)にも入ってます。
溶接で発生する煙(溶接ヒューム)にも入っています。
法規制の対象となるのは、マンガンとその化合物ですが、すべての化合物が対象と云う訳ではなく、塩基性酸化マンガンは対象外です。

溶接ヒュームには酸化マンガンが含まれています。
酸化マンガンは
 ・酸化マンガン(II) (一酸化マンガン) – MnO
 ・酸化マンガン(II,III) – Mn3O4
 ・酸化マンガン(III) – Mn2O
3
 ・二酸化マンガン (酸化マンガン(IV)) – MnO2
 ・酸化マンガン(VI) (マンガン酸塩) – MnO3
 ・酸化マンガン(VII) – Mn2O7
         があります(Wikipediaより)
青字は法規制対象外となる塩基性酸化マンガンですが、規制がかかる酸化マンガンも含んでいます。

欧米と日本の違い

許容濃度(労働者が1 日8 時間、1 週間40 時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に暴露される場合に、当該有害物質の平均暴露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度)の違い
  EC(欧州科学委員会)      レスピラブル 0.05 mg/m3
                  インハラブル 0.2 mg/m3    
  ACGIH(米国労働衛生専門家会議)レスピラブル 0.02mg/m3
                  インハラブル 0.1 mg/m3 
  産業衛生学会(日本)      0.2mg/m3
   ※レスピラブル粒子(吸入性粉じん)・・・肺胞まで届く細かい粒子
    ソラシック粒子(咽頭通過性粉じん)・・・気管まで届く粒子
    インハラブル粒子(吸引性粉じん)・・・鼻や喉で止まる粒子
  日本は粒子のおおきさを定めていません。

塩基性酸化マンガンの取り扱い
  ECとACGIH 規制
  日本       対象外

日本は、これらの基準を欧米に合わせるか検討しているところです。
今まで溶接作業は粉じん障害防止規則で規定されていますが、今後の方向性如何によっては管理が厳しくなる可能性があるので、動向は要チェックです。

試験・研究業務の有機溶剤作業主任者

有機溶剤中毒予防規則では、定められている作業列挙(第1条第1項第6号)のうち、「ル 試験又は研究の業務」を除く作業は、有機溶剤作業主任者を選任しなければならない。

なぜ、試験又は研究の業務は有機溶剤作業主任者を選任しなくてよいのか?

解釈例規には、
・一般に取り扱う有機溶剤等の量が少ないこと
・有機溶剤についての知識を有する者によって取り扱われていること
と書かれています。(昭和53年8月31日 基発第479号)

研究職に就いている方はおそらく大学で化学を専攻していたと思います。
そのような方しかいないならば、条文通り有機溶剤作業主任者は不要です。
(注 以前知識を有する者は、院卒のことを指す。と聞いたことがあります。そこは監督官次第でしょうか)

しかし、試験・研究で用いた器具の洗浄などを、パートさんにお願いしている場合、その指揮のために、有機溶剤作業主任者の選任が必要です。

また、少し解釈が微妙ですが、
大学などの場合、学生が有機溶剤を取り扱う場合、有機溶剤作業主任者を選任しておいたほうが無難です。
無難というのは、学生は労働者ではないので適用されるか曖昧だからです。
ですが、もし万が一事故や中毒が発生した場合、教職員に責任が生じます。教育の一環として、有機溶剤作業主任者の技能講習を受講させ、作業主任者の職務を行わせることをお奨めします。

研究員がすべて化学専攻で、充分に知識を有しているとしても、有機溶剤作業主任者の職務を行う役を選任することをお奨めします。

その理由は、

有機溶剤作業主任者の職務

  1. 作業に従事する労働者が有機溶剤により汚染され、又はこれを吸引しないように、作業の方法を決定し、労働者に指揮すること。
  2. 局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を1月を超えない期間ごとに点検すること。
  3. 保護具の使用状況を監視すること。
  4. タンクの内部において有機溶剤業務に労働者が従事するときは、第26条各号に定める措置が講じられていることを確認すること。
    (有機溶剤中毒予防規則第19条の2)

2.の局所排気装置等の点検を誰がやるかです。
専門の業者が毎月入るなら問題ないですが、そうでないならば、法的義務はありませんが、管理担当者をおくようにしましょう。

ユニット 作業主任者職務表示板 有機溶剤作業主任者の職務 500×400mm 356-21

有機則 使用量の計算

2020.7.14 訂正

第2条、第3条の適用除外を利用するには、有機溶剤の使用量を算出しないといけません。その計算式を説明します。(ただし、有機溶剤業務 イ、ロ、ヲは適用されません)

第2種有機溶剤の計算(第1種、第3種の式はこちら

    有機溶剤の許容使用量(g)=2/5 × 作業場の気積(m

気積は天井が高いと許容使用量が多くなるので、4mを超える高さは計算にいれません。また、広い作業場であっても、有機溶剤蒸気の拡散が狭いケースが考えられるので、気積の上限を150mとしてます。
結果、第2種有機溶剤の許容使用量の上限は60gになります。
部屋が狭かったら、この上限も小さくなります。
なお、2/5という数字は、第1種有機溶剤は1/15、第3種有機溶剤は3/2が入ります。なので、第1種有機溶剤は10g、第3種は225gになります。

1日に消費する有機溶剤等の量

一番面倒なのが、どれだけ使っているかです。
作業時間は比較的認識しやすく、かつ器具が不要です。
おおざっぱにならば、納品の数と頻度で、おおよその使用量はわかりますが、部署毎の使用量が把握できません。適用除外を受けるくらいですから、1日100mL弱くらいでしょう。なので、できれば部署毎、さらには部屋毎に把握することをお奨めします。試験・研究の場合は、さらに作業手順書毎に把握しましょう。

例)1日の使用量
  ・塗料(合成樹脂エナメル塗料) 5kg
  ・硬化剤            0.1kg
  ・塗料用シンナー        1L
  ・洗浄用シンナー        1L

これらの量に、「有機溶剤中毒予防規則第2条第2項第1号及び第2号並びに第17条第2項第2号及び第3号の規定に基づく有機溶剤等の量に乗ずべき数値」(改定昭和53年8月7日 労働省告示第87条)で定めている数値を掛けます。

表の区分にぴったりと適合しないですが、次の数値を使って計算します。
  塗料(合成樹脂エナメル塗料)・・・その他の塗料     0.6
  硬化剤           ・・・その他の塗料     0.6
  塗料用、洗浄用シンナー   ・・・シンナー類      1.0
       
塗料5×0.6+硬化剤0.1×0.6+シンナー2×1.0=5.06kg
g(グラム)に直すと、5060gなので、ここの作業場の適用除外はできないことになります。

※ここまでの計算は、有機溶剤業務ハ~ヌまで適用されます。ル(試験、研究の業務)は適用されません。

※この記事は2019年に書いたものですが、当時の監督署の人は「合成樹脂エナメル塗料は合成樹脂ペイントとしていいのでは?」と話していました。
その後調べたところ、「合成樹脂ペイント」は古い言い方らしく、今どきは「〇〇樹脂エナメル」とかに該当しそうです。アクリル樹脂エナメルはこれらに該当しないので、「その他の塗料」としました。
なお、「エナメル」は顔料入り塗料、「ワニス」は顔料の入らないクリアー系塗料の意味のようです。(2021.5.17加筆)

1日300gで使用時間が6時間の場合

「1時間あたりに直すと、50gなので、適用除外できる」
いえ、できません。
普通の屋内作業場の認識と、有機則のいう屋内作業場に開きがあります。
いわゆる、普通の、窓がある部屋は、有機則でいう「通風の不十分な屋内作業場」になります。
この「通風の不十分な屋内作業場」は、この条文でいう「タンク等の内部」に該当するので、許容使用量の単位は1日で計算しなければならないのです。
でも、通風が十分な屋内作業場ならば、1時間の使用量50gを使うことができます。

通風が十分な屋内作業場って?

告示では、
「通風が不十分な屋内作業場」とは、天井、床及び周壁の総面積に対する直接外気に向かって開放されている窓その他の開口部の面積の比率(開口率)が3%以下の屋内作業場をいうものである。
となってます。
なので、開口率が3%超えていれば、通風が十分である屋内作業場といえます。ここで「開口部が」とありますので、開いていなければこの要件を満たしません。雨や雪で窓を閉める場合は適用除外されないのでご注意ください。(2021.5.17改訂)

参考に、有機則第7条の屋内作業場の周壁が開放されている場合の適用除外の説明をします。

次に該当する屋内作業場においては、第5条(設備関係)の規定は適用しない。
1.周壁の2側面以上、かつ、周壁の面積の半分以上が直接外気に向かって
  開放されていること。
2.当該作業場に通風を阻害する壁、衝立その他の物がないこと。

 こちらは、「窓」という表記がないので、開口部を閉めようがない状態です。ですので、窓を閉めて、開口面の割合が3%以下になるならば、その場所は「タンク等の内部」として扱うこととされています。

この記事の告示
・昭和35年10月31日 基発第929号
・昭和53年8月31日 基発第479号
・昭和53年12月25日 基発第707号

・安全衛生業務執務必携(非売品)

使用量と蒸発量(「ル 試験、研究の業務」の使用量の計算)

「有機溶剤中毒予防規則第2条第2項第1号及び第2号並びに第17条第2項第2号及び第3号の規定に基づく有機溶剤等の量に乗ずべき数値」には、乗ずべき数字として、
  有機溶剤 1.0
  有機溶剤含有物 の数値 となってます。
「有機溶剤」とは、有機則第1条第1項第1号に、労働安全衛生法施行令別表第6の2に掲げる有機溶剤をいう。とあります。基本単品と考えます。
 他の溶剤等が混ざっている有機溶剤含有物の場合は、表の数値を使う。と読めます。
この表の数値は、樹脂等有機溶剤以外のものが入っているから、それを勘案したこの数値を使いましょう。とかいてあります。洗浄用溶剤は樹脂等不純物が入っていないので1.0が妥当かと。ただ、昔、適用除外の監督署に提出した書類を、事業場の方から見せてもらう機会がありました。その計算は、含有率を乗じて算出してました。その計算方法でなにも指摘されなかったと聞きました。監督署によって、違うかもしれません。
 また、この洗浄でつかった溶剤を、すべて揮発させるのではなく、ドレンから回収する場合は、すべて揮発させるわけではなりませんが、この場合の使用量は、文字通り使った量になります。つまり、10リットルの容器に8リットル入れたら、その8リットルが使用量になります。
 では、試験、研究はどのように計算するかというと、使用前と使用後の差が使用量となるようです。

有機則の適用除外(第2条と第3条の違い)

適用除外の範囲

第2条と第3条が適用除外の条文ですが、それぞれ違いがあります。
 

第2条の適用除外  

やらなくてもよいことは、
  ・局所排気装置等の設置
   <第2章(第5条~第13条の3)、第3章(第14条~第18条の3)>
  ・有機溶剤作業主任者の選任<第4章(第19条、第19条の2)>
  ・有機溶剤の表示関係(区分、掲示)<第4章(第24条~第26条)>
  ・保護具<第7章(第32条~第34条)>

やらなければならないことは、
  ・事故の場合の退避等(第27条)
  ・作業環境測定(第28条~第28条の4)
  ・健康診断(第29条~第31条)
  ・有機溶剤等の貯蔵と空容器の処理(第35条、第36条)

第3条の適用除外

やらなければならないこと
 ・事故の場合の退避等(第27条)
 ・有機溶剤等の貯蔵と空容器の処理(第35条、第36条)

やらなくてよいこと
 上の3条を除くすべて

第3条の適用除外を利用すると、かなり管理が簡略されます。ですが、この第3条の適用除外を利用するには、所轄労働基準監督署長の認定が必要になります。この認定なしに、作業環境測定や健康診断を実施していない場合、労働基準監督官が臨検に来たら、是正勧告を受けます。

適用除外を受けられる作業

有機溶剤業務は第1条第1項第5号に規定されています。
簡単に書きますと、
 イ 有機溶剤等の製造
 ロ 有機溶剤を原料とした製品(農薬、化学繊維、合成樹脂ほか)の製造
 ハ 印刷
 ニ 文字の書き込み、描写
 ホ つや出し、防水等の面の加工
 へ 接着剤の塗布
 ト への塗布物の接着
 チ 洗浄、払拭
 リ 塗装
 ヌ 乾燥
 ル 試験、研究
 ヲ 有機溶剤を入れたことのあるタンク内での業務

このうち、第2条と第3条の適用除外が可能な作業は、ハ~ルまでの作業で、有機溶剤の使用量が多い有機溶剤等の製造やタンク内の有機溶剤および有機溶剤蒸気の残存量が明確でない作業は適用できないので注意してください。

塗料、洗浄溶剤等の保管に必要な届出

有機溶剤を含む塗料や化学薬品は、火災が発生するとより燃え広がる性質があります。
大量(指定数量以上)に保管している会社は、消防法に基づいて届け出て、しかるべき方法、設備で管理しなければなりません。
大量ではないがそれなりの量(指定数量の1/5以上)を保管している会社は市町村で定めている条例に従って管理しなければなりません。

例)神奈川県のホームページ

  1. 危険物表で定める数量以上の危険物は、定められた場所以外で貯蔵し又は取り扱うことはできません。
    貯蔵所、製造所又は取扱所を設置する場合は、それを設置する地域の市町長に申請し、許可を受ける必要があります。
  2. 上記施設での危険物の取り扱いは、危険物取扱者(免状所有者)が行い、危険物取扱者以外の者が取り扱う場合は、危険物取扱者の立ち会いが必要となります。
  3. 危険物表で定める数量以上の危険物を貯蔵所、取扱所以外の場所で10日以内の期間に限って仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、その場所を管轄する消防長又は消防署長の承認を受けなければなりません。
  4. 危険物表で定める数量未満で、その数量の五分の一以上の危険物を取り扱う場合は、市町の定めた火災予防条例により消防長又は消防署長にあらかじめ届け出なければなりません。

指定数量とは?

普通の事業場で使われると思われる、第4類の引火性液体について表にしました。「例」は広島大学様のサイトを参考にさせていただきました。
そもそも、「引火性液体」ってなに?という方は、こちら(図解でわかる危険物取扱者講座)をご覧ください。

消防法では
「指定数量以上の危険物は、貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵し、または製造所、貯蔵所および取扱所以外の場所でこれを取り扱ってはならない」(第10条)
と定めています。
なので、指定数量以上保管する場合、「危険物貯蔵取扱所」としての届け出が必要になります。
一方、指定数量未満の場合は市町村条例に従います。指定数量1/5以上ならば「少量危険物貯蔵取扱所」としての届け出が必要です。

「この塗料って、第なに石油類なんだろう?」
大抵、容器に貼り付けてあるラベルに書いてあります。
もし書いていなければ、安全データシート(SDS)を取り寄せましょう。
SDSはA4サイズで5~6枚から成ります。
塗料等の取り扱い店に云えば貰えます。
このSDSには「適用法令」の欄がありますので、そこに書いてあります。

計算方法

例えば薬品倉庫に次の製品が入っています。

品名 類別 指定数量 保管量
ガソリン 第1石油類 200L 10L×2缶 20L
灯油 第2石油類 1000L 18L×4タンク 72L
ラッカーシンナー 第1石油類 200L 18L×5缶 90L
合成油脂エナメル塗料 第3石油類 2000L 18L×20缶 360L

計算のお約束として、
一斗缶   18L ← 内容量表示がkgでも、一律18Lと計算する
ドラム缶 200L
たとえ半分しか入っていなくても満量とする
含有率が低くても、満量として計算する
 ↑ 例 トルエンが10%入っている一斗缶は、1.8Lとするのではなく、
     18Lとして計算する
計算式
ガソリン    灯油    ラッカーシンナー 合成樹脂エナメル塗料
20/200+72/1000+90/200+360/2000=0.802

合計が0.2以上1未満ならば少量危険物貯蔵取扱所として、1以上ならば、危険物貯蔵取扱所としての届け出が必要となります。

必要な掲示物等は消防署にご相談ください。

危険物貯蔵取扱所を届け出るなら、危険物取扱者の国家資格者が必要です。

少量危険物貯蔵取扱所は法律上資格者は不要ですが、有資格者をおいておいたほうがよいでしょう。

臨時作業について(特定粉じん発生源で局所排気装置を付けなくてもよい例)

11月21日の投稿で、特定粉じん発生源には局所排気装置等を設置することが規則で定められていると書きました。(粉じん則第4条)
ですが、臨時の作業について、次の3つに該当する場合は、「有効な呼吸用保護具を使用させたときは第4条は適用しない」と定めています。(粉じん則第7条第1項)
※坑内作業での設備の適用除外も7条に書いてありますが、ここでは割愛します。

  1. 1期間をもって終了し、繰り返されない作業であって、かつ、当該作業を行う期間が概ね3月を超えない
  2. 同一の特定粉じん発生源に係る同一の特定粉じん作業を行う期間が1月を超えず、かつ、当該作業の終了の日から6月以内の間に当該特定粉じん発生源に係る次の特定粉じん作業が行われないことが明らかな場合
  3. 同一の特定粉じん発生源に係る特定粉じん作業が、連日行われる場合にあっては、1日当たり当該作業時間が最大1時間以内であるときをいい、連日行われない場合であっては当該作業時間の1日当たりの平均が概ね1時間以内である場合

上の3つは、第7条の第1項の第1号から3号に、解釈を交えて書き換えたものです。(昭和54年7月26日 基発第382号)
この3つのいずれかに該当していたら、第4条に記載されている、湿潤に保つ設備、密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置を設置しなくてもよいとされています。ただ、あくまでも臨時、短時間作業で粉じんの発生が少ないと考えられるからなので、臨検にきた監督官が引いてしまうくらい粉じんが飛散していたり、床が粉じんで積もっていたら、指導書が出るかもしれません。

この臨時等の判断は、第4条の設備についてなので、この3つに該当するから「作業環境測定」もやらなくてもよいというわけではないので注意してください。

粉じん則第25条(作業環境測定を行うべき屋内作業場)
厚生労働省令で定める土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場は、常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場とする。

とあります。
ここに「『常時』特定粉じん作業が行われる・・・」とあります。
この『常時』を、今まで述べた第7条の常時性の解釈を準用してしまいがちになりますが、繰り返しますが第7条は設備の適用除外なので、第25条の作業環境測定まで適用するという解釈はすることができません。
あとは法律で定められていない事務連絡や内かんを参照するか。
この事務連絡や内かんについては、11月19日の「常時とは?」に書きました。事務連絡や内かんで常時性がないと皆さん会社の管理者が判断しても、実際の判断は監督官に委ねられますので、もし、作業環境していなかったら、「是正勧告」を受ける可能性がありますので、肝に銘じておいてください。

粉じん則が適用される作業

粉じん障害防止規則

短縮して、「粉じん則」と云ってます。
この法律ができる前に「じん肺法」(略称ではないです)があるので、この粉じん則の構成は他と違ってます。健康診断などがすべてじん肺法の方で定められています。

作業列挙方式

「砂埃が舞い上がるようなところがすべて対象なんじゃないの?」とお思いかもしれませんが、適用される作業が規則で定められています。
このように作業内容によって、法規制されるものを作業列挙方式と呼んでいます。
この作業列挙方式は、労働衛生関係だと粉じん則の他には、有機溶剤中毒予防規則(有機則)、鉛中毒予防規則(鉛則)があります。

別表1~3

この粉じん則には別表が1から3まであります。

別表1は、この規則が適用される作業が列挙されています。
ですので、この別表1に該当しない作業は粉じん則に縛られません。また、別表1の中で、一部の作業で注水、注油しながら行う場合は規則の一部が適用除外されます。
なお、この別表1の作業は「粉じん作業」と称されています。

別表2は、別表1の作業の中で、粉じんがの大量な飛散が考えられ、かつ健康に害を及ぼしそうな作業が列挙されています。
別表1の作業は屋内、屋外の別なしですが、別表2は「坑内」や「屋内」といった、「屋外」ではない作業が該当します。屋内などの他にも、「湿潤状態」とか「手持ち工具」も除かれています。
この別表2の作業は「特定粉じん作業」と称されています。

別表3は、今までの別表1と別表2と違い、防じんマスク等呼吸用保護具を着用しなければいけない作業が列挙されています。

特定粉じん作業

解釈例規には、
粉じんの発生源が別表2の発生源(特定粉じん発生源)である粉じん作業とあります。

「特定粉じん発生源とは」
粉じん作業に係る粉じん発生源のうち、作業工程、作業の態様、粉じん発生の態様等からみて、一定の発生源対策を講ずる必要があり、かつ、有効な発生源対策が可能であるものであり、具体的には屋内又は坑内において固定した機械又は設備を使用して行う粉じん作業に係る発生源のこと。とあります。
(昭和54年7月26年 基発第382号)

「有効な発生源対策が可能」とは、技術的に、現実的に対策が可能であること。
逆にいえば、巨大で、危険で近寄れない設備などは対策が困難なので、著しい粉じんの飛散がみられても、別表2に入っていない粉じん作業もあります。

特定粉じん作業があると、次の事項の実施が規則で定められています。

  • 湿潤化、密閉化、局所排気装置等、除じん装置を設置すること、その維持に関すること
  • 特別の教育を行うこと
  • 作業環境測定を行うこと

屋内にある設備なので、作業者の健康障害を及ぼす可能性が高いので、細かい管理が求められています。

自分の会社はどうなんだろうか?といった疑問は労働基準監督署や作業環境測定機関に問い合わせることをお奨めします。
こちらのサイトでは、より細かい解説を後々書いていきます。

常時とは?

金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業の「継続」についてはこちらをご覧ください。

法的に必要かどうか

 これは、作業が常時あるのと、ないのとだと、健康診断、局所排気装置、作業環境測定などの管理が法的に必要かどうかが変わってきます。
 粉じん障害防止規則ではある程度細かく定めていますが、排気装置の設置に係る部分だけです。(←これは、後日改めて。)

説明の前に

法令の優先順位

法律・施行令・施行規則・告示通知・通達

厳密に言いますと、法律の前に憲法がありますが。
法律は改正が難しいので、ぼや~っと具体性に欠けています。
それを補足するのが、施行令(政令)。
施行令を補足するのが、施行規則(省令)。
法による強制力があるのは、施行規則を補足する告示までです。

通知(助言)、通達(命令)はそのさらに下流になります。
下流というと語弊がありますが、どちらかというと行政内部の文書的なものでしょうか(行政の人間ではないのでわかりませんが)
インターネットで検索できる法令は、この通達まででしょうか。

事務連絡と内かん

通知、通達よりも、さらに強制力がない文書です。
順序は、通達>事務連絡>内かん。
労働基準監督官が法令解釈に迷ったときに、基本的に安全側に判断されます。

この事務連絡と内かんは
「あくまで、参考程度にとらえてください。」というものです。
これに従わなければ法令違反というものではないし、それを強要するものでもありません。 法令や通達として規定するに馴染まない事項を伝達するために用いるものです。
それを踏まえて、次をお読みください。

常時性の判断について

  1. じん肺法、粉じん則に係る『常時』の取扱いについては、 昭和58年4月1日付事務連絡「じん肺法及び粉じん障害防止規則に係る常時の取扱いについて」及び昭和57年12月14日付労働省労働衛生課長内かん※を参考にすること。
  2. 1以外の有害業務に 「常時」の取扱いについては、 昭和52年3月24日付東基収第320~2号「監督指導業務の運営に当って留意すべき事項」通達の記の3の(2)において、 健康診断にかかるいわゆる常時性の判断については当面、行政上の措置を行う場合に限り、
      イ 当該業務に継続的に従事する期間が3ヵ月程度以上である場合
       ロ 当該業務に反復継続的に従事する頻度が週1回以上ある場合
    には、常時性があるものとして措置すること。

    としており、これを参考にすること。

<昭和58年4月1日付事務連絡の内容>
 じん肺法及び粉じん障害防止規則に関する常時性の判断にあたっては、当面行政上の措置を行う場合に限り次に揚げる場合には常時性があるものとして措置すること。

  1. ほとんど毎日連続して粉じん作業に従事している場合。
    ただし、自ら使用しているバイト等の工具類の研磨を行う場合は除く。   
  2. 断続的かつ繰り返して粉じん作業を行う場合は、粉じん作業に従事する時間が概ね1週間については3時間、1月については12時間を超えている場合。
    なお、当該作業時間が1月を超えた期間で繰り返される場合は1月を単位とした平均時間で判断するものとする。
  3. 臨時の粉じん作業(1期間をもって終了し繰り返されない作業)に従事する場合でその期間が3月を超える場合。
    なお、個々のケースについて上記1,2及び3により具体的に判断するにあたっては、対象となる粉じん作業を「~する場所における作業」と、法令上適用させている場合があるのでこのような場合は単に「~する」という行為を行う時間のみで判断しないように特に留意する必要があること。

<昭和57年12月14日付労働衛生課長内かん>
「粉じん障害防止規則別表第1第13号等に係る疑義について」の通達において示されている 「常時粉じん作業に従事する労働者」の事例について

第1 「常時粉じん作業に従事する労働者」に該当するものとして取扱った事例

  1. 毎日1時間程度工具類の研磨を行う労働者
  2. 毎日2~3時間アーク溶接を行う労働者
  3. 1日当たり2時間かつ1ヵ月15日アーク溶接を行う労働者
  4. 毎月1週間(約40時間)鋼製のタンク内で、手持式グラインダーを用いて錆落しを行う労働者
  5. 毎月15日(1日当たり2時間)グラインダーにより鋳物のばり取りを行う労働者
  6. 鋳物業において所定労働時間及び所定労働日数の大半を粉じん作業に従事する労働者
  7. ガラス製造工場で毎日2時間以上原料の混合を行う労働者
  8. 磁器食器製造工場において毎日3時間程度製品の底面等の研磨(はますり等)を行う労働者
  9. 1時間ごとに1回(約20分間)、1日当たり7回ほとんど毎日、開放炉に鋳物を投げ入れる作業に従事する労働者

第2 「常時粉じん作業に従事する労働者」に該当しないものとして取扱った事例

  1. 機械工場、鉄工場において、設備、機器の補修等のため、まれにアーク溶接を行う労働者
  2. 鉄骨加工業等において、月に2~3回、短時間、屋外のアーク溶接を行う労働者
  3. 屋内で鉄骨の仮止めアーク溶接を1日当たり60ヵ所(1回当たり2秒)行う労働者
  4. 1日1時間、1ヵ月2~3日はアーク溶接を行う労働者
  5. 毎月15日(1日当たり10分間)グラインダーにより工具の研磨を行う労働者



これは知り合いの監督官から、コピーのコピーのコピー・・・を重ねた文書をもらい、デジタルに打ち直したものです。
繰り返しますが、

あくまで参考ですので、この判断を優先しないようにお願いいたします!

第5回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会ワーキンググループ 議事録(2019.10.16)

https://www.mhlw.go.jp/haishin/u/l?p=f4DD39bTRVgfX6vtY

「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の技術的事項について」

令和元年6月4日開会

  • 解体する建築物内に含有する石綿の事前調査について
  • 石綿の事前調査を行う者の講習制度等
  • 石綿含有分析を行う者の講習制度等
  • 事前調査結果の記録の内容
  • 保存期間 などなど