常時とは?

金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業の「継続」についてはこちらをご覧ください。

法的に必要かどうか

 これは、作業が常時あるのと、ないのとだと、健康診断、局所排気装置、作業環境測定などの管理が法的に必要かどうかが変わってきます。
 粉じん障害防止規則ではある程度細かく定めていますが、排気装置の設置に係る部分だけです。(←これは、後日改めて。)

説明の前に

法令の優先順位

法律・施行令・施行規則・告示通知・通達

厳密に言いますと、法律の前に憲法がありますが。
法律は改正が難しいので、ぼや~っと具体性に欠けています。
それを補足するのが、施行令(政令)。
施行令を補足するのが、施行規則(省令)。
法による強制力があるのは、施行規則を補足する告示までです。

通知(助言)、通達(命令)はそのさらに下流になります。
下流というと語弊がありますが、どちらかというと行政内部の文書的なものでしょうか(行政の人間ではないのでわかりませんが)
インターネットで検索できる法令は、この通達まででしょうか。

事務連絡と内かん

通知、通達よりも、さらに強制力がない文書です。
順序は、通達>事務連絡>内かん。
労働基準監督官が法令解釈に迷ったときに、基本的に安全側に判断されます。

この事務連絡と内かんは
「あくまで、参考程度にとらえてください。」というものです。
これに従わなければ法令違反というものではないし、それを強要するものでもありません。 法令や通達として規定するに馴染まない事項を伝達するために用いるものです。
それを踏まえて、次をお読みください。

常時性の判断について

  1. じん肺法、粉じん則に係る『常時』の取扱いについては、 昭和58年4月1日付事務連絡「じん肺法及び粉じん障害防止規則に係る常時の取扱いについて」及び昭和57年12月14日付労働省労働衛生課長内かん※を参考にすること。
  2. 1以外の有害業務に 「常時」の取扱いについては、 昭和52年3月24日付東基収第320~2号「監督指導業務の運営に当って留意すべき事項」通達の記の3の(2)において、 健康診断にかかるいわゆる常時性の判断については当面、行政上の措置を行う場合に限り、
      イ 当該業務に継続的に従事する期間が3ヵ月程度以上である場合
       ロ 当該業務に反復継続的に従事する頻度が週1回以上ある場合
    には、常時性があるものとして措置すること。

    としており、これを参考にすること。

<昭和58年4月1日付事務連絡の内容>
 じん肺法及び粉じん障害防止規則に関する常時性の判断にあたっては、当面行政上の措置を行う場合に限り次に揚げる場合には常時性があるものとして措置すること。

  1. ほとんど毎日連続して粉じん作業に従事している場合。
    ただし、自ら使用しているバイト等の工具類の研磨を行う場合は除く。   
  2. 断続的かつ繰り返して粉じん作業を行う場合は、粉じん作業に従事する時間が概ね1週間については3時間、1月については12時間を超えている場合。
    なお、当該作業時間が1月を超えた期間で繰り返される場合は1月を単位とした平均時間で判断するものとする。
  3. 臨時の粉じん作業(1期間をもって終了し繰り返されない作業)に従事する場合でその期間が3月を超える場合。
    なお、個々のケースについて上記1,2及び3により具体的に判断するにあたっては、対象となる粉じん作業を「~する場所における作業」と、法令上適用させている場合があるのでこのような場合は単に「~する」という行為を行う時間のみで判断しないように特に留意する必要があること。

<昭和57年12月14日付労働衛生課長内かん>
「粉じん障害防止規則別表第1第13号等に係る疑義について」の通達において示されている 「常時粉じん作業に従事する労働者」の事例について

第1 「常時粉じん作業に従事する労働者」に該当するものとして取扱った事例

  1. 毎日1時間程度工具類の研磨を行う労働者
  2. 毎日2~3時間アーク溶接を行う労働者
  3. 1日当たり2時間かつ1ヵ月15日アーク溶接を行う労働者
  4. 毎月1週間(約40時間)鋼製のタンク内で、手持式グラインダーを用いて錆落しを行う労働者
  5. 毎月15日(1日当たり2時間)グラインダーにより鋳物のばり取りを行う労働者
  6. 鋳物業において所定労働時間及び所定労働日数の大半を粉じん作業に従事する労働者
  7. ガラス製造工場で毎日2時間以上原料の混合を行う労働者
  8. 磁器食器製造工場において毎日3時間程度製品の底面等の研磨(はますり等)を行う労働者
  9. 1時間ごとに1回(約20分間)、1日当たり7回ほとんど毎日、開放炉に鋳物を投げ入れる作業に従事する労働者

第2 「常時粉じん作業に従事する労働者」に該当しないものとして取扱った事例

  1. 機械工場、鉄工場において、設備、機器の補修等のため、まれにアーク溶接を行う労働者
  2. 鉄骨加工業等において、月に2~3回、短時間、屋外のアーク溶接を行う労働者
  3. 屋内で鉄骨の仮止めアーク溶接を1日当たり60ヵ所(1回当たり2秒)行う労働者
  4. 1日1時間、1ヵ月2~3日はアーク溶接を行う労働者
  5. 毎月15日(1日当たり10分間)グラインダーにより工具の研磨を行う労働者



これは知り合いの監督官から、コピーのコピーのコピー・・・を重ねた文書をもらい、デジタルに打ち直したものです。
繰り返しますが、

あくまで参考ですので、この判断を優先しないようにお願いいたします!

投稿者: 管理人 ごじら

労働安全衛生コンサルタント(機械・衛生工学) 作業環境測定士から始まり、健康診断の集団検診の事業場様対応窓口を経て衛生管理者や作業主任者、化学物質リスクアセスメントの講師などをやっております。開業予定は2024年目標!

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