塩基性酸化マンガンと溶接ヒュームが特化物として規制されます

5月19日一部ブロックを別記事へ
5月14日加筆
5月13日加筆

溶接ヒュームに係る最新の法改正についてはこちらをご覧ください。

化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書

詳細は、上記の厚生労働省のリンクを参照してください。

概略を話しますと、
・今まで対象外であった、マンガン化合物のうち塩基性酸化マンガンが、対象となります。
・塩基性酸化マンガンは、溶接ヒュームと※溶解フェロマンガンヒュームに含まれています。
 ※溶解フェロマンガンヒューム・・・製鋼工程でフェロマンガンを添加しますが、その時に発生するヒュームのこと

溶接ヒュームに係る法改正

今までアーク溶接に関しては、
粉じん則では、防じんマスクの着用について。
じん肺法では、健康診断と事後措置について規定されていました。
今度は特定化学物質障害防止規則が加わります。

特定化学物質の分類は管理第2類物質となります。
溶接ヒュームで肺がんになる場合、粉じんが原因か、マンガンが原因か明確に区別でいないことから、発がん性があるにもかかわらず、特別管理物質にはなっていません。

第2類物質ですが、局所排気装置等の設置義務がないことと併せて、定期に作業環境測定を実施する義務はありません。ただし、全体換気装置による気中濃度低減対策は必要です。
全体換気装置等による気中濃度低減効果を確認するために、個人サンプラーを用いた気中濃度測定が必要になります。

それと同時に、必要な呼吸用保護具を選定します。

特殊健康診断は、今までじん肺健診だけでしたが、特化則として、マンガンの項目が追加されます。
頻度は6か月に1回です(特化則第39条)

項目(別表第3より)
・業務経験の有無
・せき、たん、仮面様顔貌(表情が乏しくなること)、膏顔(こうがん 脂ぎった皮膚の様子)、流涎、発汗異常、手指の振戦(しんせん 震え)、書字拙劣、歩行障害、不随意性運動障害、発語異常等のパーキンソン症候群様症状の既往歴の有無の検査
・握力の検査

精密検査になると、胸部X線撮影や、尿中又は血中マンガン量の測定などが加わります。

溶解フェロマンガンヒュームに係る法改正

溶接ヒュームは作業環境測定の義務はありませんが、溶解フェロマンガンヒュームは測定が必要です。
こちらは溶接ヒュームとしてではなく、マンガン及びその化合物に該当します。製鋼時に鋳込むフェロマンガンが60~80%マンガンが含有していますので、その取扱いは対象になります。さらに取鍋内の溶融金属内のマンガン含有率が1%超えていれば、そちらも対象になります。
測定方法は従来の作業環境測定と同じ方法になります。
特殊健康診断等は、溶接ヒュームと同じです。
<このブロックは、パブリックコメントを見て加筆しました。5月13日>

施行期日

令和3年4月1日(予定)
ですが、金属溶接ヒュームの測定や作業主任者については1年の猶予期間を設けるようです。
マンガンの作業環境測定については、猶予期間はないようです。

詳細が分かりましたら、随時更新(加筆)いたします。

投稿者: 管理人 ごじら

労働安全衛生コンサルタント(機械・衛生工学) 作業環境測定士から始まり、健康診断の集団検診の事業場様対応窓口を経て衛生管理者や作業主任者、化学物質リスクアセスメントの講師などをやっております。開業予定は2024年目標!

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