車両系荷役運搬機械等に係る作業指揮者、誘導者

先の作業計画を作成するにあたり、様式の中に「作業指揮者」を記入する欄があります。

作業指揮者は、
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、当該作業の作業指揮者を定め、その者に作業計画に基づき作業の指揮を行わせなければならない。としています。
(労働安全衛生規則第151条の4)

独りで作業計画に基づいて作業する場合は、作業指揮者の選任は必要ないと通知が出ています。(昭和53年2月10日 基発第78号)
つまり、2名以上で作業を行う場合は作業指揮者を選任する必要があります。

この作業指揮者ですが、法令で基づく免許や技能講習があるわけではありませんが、荷役運搬作業の安全を確保するため、この作業を直接指揮する者等に対し、当該職務の遂行に必要な知識等を付与する安全教育の実施が推奨されています。(平成4年12月11日 基発第650号)

車両系荷役運搬機械等作業指揮者安全教育カリキュラム

この教育の講師は自分の会社で講師ができる人がいるなら自社で実施しても問題ありません。
しかし、教育を受けたにも関わらず事故が起きた場合、教育の在り方が問われますので、実施については、テキストを発行している陸上貨物運送事業災害防止協会などに相談するとよいでしょう。

誘導者とは?

運転中の車両系荷役運搬機械等又はその荷に接触することにより労働者が危険を生じるおそれのある個所について労働者を立ち入らせてはならない。としています。
(労働安全衛生規則 第151条の7)
これは作業計画で車両系荷役運搬機械等が運行するエリアに人を立ち入らせてはならないという意味です。安全通路も柵などのガードが必要です。
ただし、誘導者を配置し、その者に車両系荷役運搬機械等を誘導させるときはその限りではない。といっています。

作業指揮者は計画の管理なので、必ずしも作業場に常駐する必要は少ないと考えられます。しかし、誘導者は職務上作業場に常駐する必要があります。
また、車両系荷役運搬機械等の運転者は誘導者を兼任できないので注意してください。
この誘導者は、ガードに囲われた、安全な場所で常駐することが最善ですが、そこまで法律では求めていません。しかし、目立つ装備にすることを心がけてください。

作業計画(車両系荷役運搬機械等)

行く先で、作業計画を立てていないところが多いので、まとめておきます。
ここで云う「車両系荷役運搬機械等」は次のものを指します。
 フォークリフト    ショベルローダー    フォークローダー
 ストラドルキャリアー 不整地運搬車      構内運搬車
 貨物自動車(トレーラー、ダンプトラック、タンクローリー等)

目的

車両系荷役運搬機械等を用いて、作業、構内走行及び荷の積み下ろしを行う時の安全を図るため、事前に作業の方法を検討させることとしたもの。
なお、事業場規模にかかわらず、作成する必要がありますので注意してください。

内容

当該作業に係る場所の広さ及び地形
当該車両系荷役運搬機械等の種類及び能力
荷の種類及び形状等(「等」は重量、有害性などを含む)
車両系荷役運搬機械等の運行経路及び作業方法(作業に要する時間を含む)

フォークリフト
(大阪労働局様のパンフレット)

様式は決まったものが定められているわけではありませんので、上記の必要事項が網羅されていれば問題ありません。
ですが、インターネットで検索すると、様式をダウンロードできますので、利用するのも手です。
こちらでも権利に関係なくダウンロードできるように、後日作成しようと思っています。

年間安全衛生管理計画表とは

「なにそれ?」と思う方もいらっしゃるかと。
作成に係る法的義務は、所轄の監督署長から「安全衛生管理指定特別指導事業場」にしていされない限りありませんが、安全衛生に関して決めておかなければならないことを記載することになるので、年度初めに作成することをお奨めします。

安全衛生管理指定特別指導事業場
略して、安特、衛特と呼ばれています。
都道府県労働局は、労働災害について特別な指導を必要と判断される事業場を指定し、安全衛生改善計画の作成を指示します。【安全衛生改善計画の作成の指示(安衛法第78条)】

なに書けばよいかわからず、作成していない事業場さんもあります。
こちらを参考してください。

     年間安全衛生管理計画書の作成の手引き(青森労働局)

他の労働局さんにもこのようなページがありますが、青森さんのは業種別に作成されていることと、達成目標も盛り込まれているので、労働安全衛生マネジメントシステムを運用しているところは参考にしてください。

安全衛生年間計画