粉じん障害防止規則には、特定粉じん発生源には、次の措置を講じなければならないとしています。(粉じん則第4条)
- 湿潤な状態に保つための設備を設置すること
- 密閉する設備を設置すること
- 局所排気装置を設置すること
- プッシュプル型換気装置を設置すること
特定粉じん発生源とは
粉じん作業に係る粉じん発生源のうち、作業工程、作業の態様、粉じん発生の態様等からみて一定の発生源対策を講ずる必要があり、かつ、有効な発生源対策が可能であるものであり、具体的には屋内又は坑内において固定した機械又は設備を使用して行う粉じん作業に係る発生源が原則といて列挙されたもの。
(昭和54年7月26日 基発第382号)
このコラムは、2番目の「密閉する設備」について書きます。
ここで云う密閉設備は、
解釈では、
「粉じんが作業場内に飛散しないようにその発生源を密閉することができる設備」をいいます。
望まれることとして、「粉じんの漏れをなくすため、内部の空気を吸引して負圧にしておくこと」としています。
これはつまり、密閉していても漏れることを想定しています。発生源を囲って、開口部をなくせば『密閉設備』と称することができます。
(昭和54年7月26日 基発第382号)
(平成10年3月25日 基発第128号)
グローブボックス型の囲いがあり、サイトガラスもあり、手を入れるところもグローブの裾で密閉されていれば、密閉設備になります。
しかしグローブが破れて、手を入れるところに隙間が空いていれば密閉設備に該当しません。
仮にそのグローブボックス内でブラストするとすると、排気装置を付けてグローブボックス内を吸引し、手を入れるところの吸い込み気流が1.0m/s必要になります。
「粉じんの漏れをなくすため、内部の空気を吸引して負圧にしておくこと」と先に書きましたが、この内部を吸引して負圧に保つ設備は局所排気装置などに該当しません。
例を出しますと、上の写真↑のショットブラストですが、箱の後ろにサイクロンのようなものがありますが、これはボックス内にたまったメディアを再利用するために吸い出す目的です。その結果ボックス内は負圧になります。
局所排気装置に該当しないので、集塵機の排気口を屋外に設ける必要がなくなります。(粉じん則第11条第1項第4号)
このことは、厚労省の労働局に問い合わせて確認しました。
ただし、労働衛生的には屋外に排気したほうが望ましいです。
グローブボックスの手袋が破れてそのままの事業場もありますが、設備届出の要件と合わなくなるので、新しい手袋にしてください。
新しい手袋にしないならば、手を入れるところの吸引風速を1.0m/s(ショットブラストの場合)出さないといけないので、そちらのほうが設備投資にお金かかりますよ。
設備届出
労働安全衛生法第88条
労働安全衛生規則別表第7(ショットブラストの届け出は23号です)
別のケースで、長尺の被研磨物を、自動送りでブラストする設備があるとします。長尺のものが入る開口部と出る開口部があると、これは密閉設備に該当しません。
この両開口部の吸引気流が1.0m/sあるように、集じん機を設置する必要があります。この集じん機の排気は屋外に設置しなければいけません。
お持ちの設備を再確認しましょう。