局所排気装置の点検表

局所排気装置は年に1回、定期的に点検することになっています。(定期自主検査 労働安全衛生法施行令第15条
実施者は、定期自主検査者の講習を受けた者が望ましいとされていますが、法的に必ず受けた者がやらないといけないわけではないですが、受けておいた方が実施する方としては安心できます。
この講習で指針に示された方法の説明がされますが、これをすべて実施するのは大変です。高所作業や機械的、電気的知識が必要な場合もありますので、できる範囲でよいと思います。できないところは、専門の業者に定期的に依頼することをお奨めします。

さて、では自分でどれだけできるか。ですが、例として下の表を作成しました。

局排点検表(フード別) 局排点検表(系統別)

今まで局所排気装置の定期自主検査をしてきた中で、①安全にできる箇所、②経験がなくても判定できる箇所、③一部チェックリスト化して後の対処がしやすいようにしています。あくまで例なので、これを参考に作成し直してもらえればと思います。

①安全にできる箇所
高所作業になる箇所は安全が確保できないところは、自分でやらないほうがよいでしょう。また、電気的知識は必要なところは感電するおそれがあるので注意しましょう。

②経験がなくても判定できる箇所
点検項目で「テストハンマーで叩いて判断する」があります。叩くことはだれでもできますが、それにより、堆積粉じんの有無やボルトの緩み、鋼板の腐食などの判断は困難です。ですのでこの表では省いています。

③一部チェックリスト化
排風機の点検の箇所は細かく作っています。
ここは電源がカットされていれば、一度やってみればできるところです。また、そこまでチェックできていれば、業者に依頼するにしても、見積もりされやすいと思います。

1枚目 フード毎に作成
風速計でフードの制御風速を測ります。
「新設時」をいれたのは、初期値からどれだけ劣化しているか一目でわかります。
「監督署届出日」というのは、局所排気装置を設置するにあたり、監督署長に届出をしないといけません。していないケースをよく見かけますので、この欄を作りました。

2枚目 ダクト、排風機、空気清浄装置の系統毎に作成
主ダクト、枝ダクト、目視検査時に枝ダクトに番号ふっておくとよいです。
系統図には、主ダクト、枝ダクト、排風機、空気清浄装置を描く他、ダンパー位置や点検口(孔)の場所も記載しましょう。
点検孔での測定値は別の紙に記入し、平均風速と静圧を記入するようにしています。測定値一つひとつ書くなら様式を変更してください。「状態」は点検口(孔)から目視で確認できるなら、内壁の状態など書くとよいでしょう。
排風機、空気清浄装置はよくあるトラブルを元にチェックリスト化してます。
点検口や横のパネルをボルトで開放する場合、パッキンが硬化していて再利用できない場合があるので、予備のパッキンを用意しておいてください。

あくまで例ですので、
みなさんの会社に合った表を作成してみてください。
表のエクセルデータの提供については、今のところ予定していません。

労災保険を利用した二次健康診断

労災保険・・・労働者災害補償保険制度の略
ちなみに、労働保険は、労災保険と雇用保険(失業保険の名称が変わり、雇用保険になりました)の総称です。

二次健康診断は、職場で行う定期健康診断等の結果、
(1)血圧検査
(2)血中脂質検査
(3)血糖検査
(4)腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定
以上の項目のすべてで異常の所見が認められた場合、労災保険を使って二次健康診断を受けることができます。ただし、すでに脳や心臓に疾患が見られる人は対象になりません。また、異常値でなくても、産業医が検査が必要と判断した場合は対象になります。
疾患が見られる場合は、治療が必要なので、労災保険ではなく健康保険で治療を行ってください。

じゃあ、この二次健康診断ってなに?
脳血管と心臓の状態を把握するために必要な検査で、具体的には、次の検査を行います。
(1)空腹時血中脂質検査
(2)空腹時血糖値検査
(3)ヘモグロビンA₁c検査
(4)負荷心電図検査または胸部超音波検査(心エコー検査)のいずれか一方の検査
(5)頸部超音波検査(頸部エコー検査)
(6)微量アルブミン尿検査
これに係る費用がこの労災保険から給付されます。

職場で健康診断を受けて、受けっぱなしではなく、そのまま通常勤務してよいかを判断しなければなりません。
健康診断の個人票に医師の名前と判子が押してありますが、これは安衛則第51条の2の、医師等からの意見聴取に該当しません。現場のことを把握している産業医に判断してもらい、その結果を個人票に記入しましょう。
産業医がいない労働者50人未満の事業場は、産業保健総合支援センターにご相談ください(原則無料)。

昔、健康診断にかかわる仕事をしていたとき、受診した事業場で労災二次健診に該当する人のリストを持って、その事業場担当者に受診勧奨してましたが、

「労災保険使うと、次から掛け金高くなるから使わない」

とよく云われました。
この二次健診に係る給付は、労災保険料額の増減に係るメリット制の対象にならないので、使ったからといって、掛け金があがることはありませんので、利用して、労働者の脳血管、心臓疾患の防止にお役立てください。(令和2年4月に労働局に再確認済み)

吸収缶の繰り返し使用

衛生管理者、有機溶剤作業主任者等、防毒マスクの知識がある方向けの記事です。使用限度を保証するものではありませんので、データを過信せず、早期の交換に心がけてください。

気中有機溶剤濃度が低い作業場で使用している防毒マスクは、繰り返し使用しているのが現状だと思います。
作業場の気中濃度が数ppmで極めて低いという背景もあると思いますが、メーカーでは、破過曲線図の右端の使用時間を超えての使用を推奨していません。
作業強度による呼吸数の増減や瞬間的に高濃度に晒されている可能性、温度、湿度、その他反応ガスなどの様々な要因からです。

では、1週間前に使って、密閉容器などで適切に保管した防毒マスクは使ってよいかどうか。

マスクメーカーである興研さんが発行している「Safety NEWS(2017.7 №702)」にあった記事を紹介します。
(残念ながら、メーカーhpにPDFで保管されていませんでした。お申し出頂きましたら、記事は消去いたします。)

吸収缶に有機溶剤蒸気が吸着するとどのようになるか。

左の図のように、吸収缶の上流(入り口)側に吸着します。これが呼吸によって吸着した有機溶剤の分子が下流側の粒に移っていきます。
この粒にどれだけの時間保持できるかは有機溶剤の種類によって異なります。メタノールとかは極めて早いです。
使わなくても置いておくだけで、右の図のように有機溶剤の分子は拡散していきます。

このグラフは、試験濃度300ppm、使用限度とする破過基準濃度5ppmのガスによるデータです。
100分まで使える吸収缶で、50分使用した後、1日、5日、10日、15日保管した場合の抜けてしまう濃度をプロットしています。
1日、5日保管ならば、同一吸収缶を繰り返し使用しても、100分使用しても破過基準濃度に達していませんので、繰り返し使用に耐えうると判断できます。
一方、10日のものは再使用開始後20時間で、15日のものは既に 破過基準濃度 に達していますので、再使用はできません。

以上より、吸収缶の袋を開けてしまったら、未使用であっても5日に処分するよう心がけてください。

Safety NEWS(2017.7 №702)の一部

労働基準法施行規則第18条第9号の有害な業務

労働時間の延長が2時間を超えてはならない業務として次の業務が挙げられています。

1.多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
2.多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
3.ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
4.土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
5.異常気圧下における業務
6.削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
7.重量物の取扱い等重激な業務
8.ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
9.鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準じる有害物の粉じん、蒸気又はガスを発散する場所における業務
10.前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務

この労働時間の延長のほか、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任としなければならない、または衛生工学衛生管理者から衛生管理者を選任しなければいけない業務にも該当します。
この業務のうち、9号について詳しく説明します。

9号の具体的な解釈として、
鉛中毒予防規則第1条第5号の鉛業務 四アルキル鉛も含む
クロムメッキに係る業務
有機溶剤中毒予防規則に係る業務
地下駐車場内における業務   があります。

労基則18条解説(労働基準法(上)労務行政研究所発行)
(労働基準法(上)労務行政研究所発行)

この通達(昭和43年7月24日 基発第472号、昭和46年3月18日 基発第223号)が見当たらないことと、この書籍が絶版なので、これ以上のことはわかりません。
この解釈では、特定化学物質については特に述べられていませんが、有機溶剤中毒予防規則の業務はそのまま準用されていますので、同様に特化物も同じ扱いにしておいたほうがよさそうです。

局所排気装置があれば、防毒マスクはつけなくてもよい?

有機溶剤を用いる塗装ブースを想定しています。

法的に「防毒マスクをしなくてもよい」と云える場合は、有機溶剤中毒予防規則の第2条や第3条に該当する場合のみです。

着用しなければならない場合は、同則第32条、第33条に該当する業務です。
この2条に該当しなければ、マスクをしなくてもよいとは言い切れません。

労働安全衛生規則の第593条には、「事業者は、有害な業務には保護具を備えなければならない」としています。
同時に第597条には、「労働者は、事業者から必要な保護具の使用を命じられたときは、使用しなければならない」としています。

事業者の判断ですが、客観的に行うため、化学物質のリスクアセスメントを実施して、マスクの着用の必要性を検討することが望まれます。

このリスクアセスメントですが、塗装ブースの能力、被塗装物の形状、作業姿勢、塗料ミストの跳ね返りなど、様々な状況を想定して実施してください。

(4月7日追記)
因みに
定年退職した元労働基準監督官に聞いてみたところ、
「局所排気装置が適切に稼働しているならば、防毒マスクはしなくてもよい」という認識とのことでした。
法令で見ると、前に書いたとおりですが、そこまでガチガチではないようです。

塩基性酸化マンガンと溶接ヒュームが特化物として規制されます

5月19日一部ブロックを別記事へ
5月14日加筆
5月13日加筆

溶接ヒュームに係る最新の法改正についてはこちらをご覧ください。

化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書

詳細は、上記の厚生労働省のリンクを参照してください。

概略を話しますと、
・今まで対象外であった、マンガン化合物のうち塩基性酸化マンガンが、対象となります。
・塩基性酸化マンガンは、溶接ヒュームと※溶解フェロマンガンヒュームに含まれています。
 ※溶解フェロマンガンヒューム・・・製鋼工程でフェロマンガンを添加しますが、その時に発生するヒュームのこと

溶接ヒュームに係る法改正

今までアーク溶接に関しては、
粉じん則では、防じんマスクの着用について。
じん肺法では、健康診断と事後措置について規定されていました。
今度は特定化学物質障害防止規則が加わります。

特定化学物質の分類は管理第2類物質となります。
溶接ヒュームで肺がんになる場合、粉じんが原因か、マンガンが原因か明確に区別でいないことから、発がん性があるにもかかわらず、特別管理物質にはなっていません。

第2類物質ですが、局所排気装置等の設置義務がないことと併せて、定期に作業環境測定を実施する義務はありません。ただし、全体換気装置による気中濃度低減対策は必要です。
全体換気装置等による気中濃度低減効果を確認するために、個人サンプラーを用いた気中濃度測定が必要になります。

それと同時に、必要な呼吸用保護具を選定します。

特殊健康診断は、今までじん肺健診だけでしたが、特化則として、マンガンの項目が追加されます。
頻度は6か月に1回です(特化則第39条)

項目(別表第3より)
・業務経験の有無
・せき、たん、仮面様顔貌(表情が乏しくなること)、膏顔(こうがん 脂ぎった皮膚の様子)、流涎、発汗異常、手指の振戦(しんせん 震え)、書字拙劣、歩行障害、不随意性運動障害、発語異常等のパーキンソン症候群様症状の既往歴の有無の検査
・握力の検査

精密検査になると、胸部X線撮影や、尿中又は血中マンガン量の測定などが加わります。

溶解フェロマンガンヒュームに係る法改正

溶接ヒュームは作業環境測定の義務はありませんが、溶解フェロマンガンヒュームは測定が必要です。
こちらは溶接ヒュームとしてではなく、マンガン及びその化合物に該当します。製鋼時に鋳込むフェロマンガンが60~80%マンガンが含有していますので、その取扱いは対象になります。さらに取鍋内の溶融金属内のマンガン含有率が1%超えていれば、そちらも対象になります。
測定方法は従来の作業環境測定と同じ方法になります。
特殊健康診断等は、溶接ヒュームと同じです。
<このブロックは、パブリックコメントを見て加筆しました。5月13日>

施行期日

令和3年4月1日(予定)
ですが、金属溶接ヒュームの測定や作業主任者については1年の猶予期間を設けるようです。
マンガンの作業環境測定については、猶予期間はないようです。

詳細が分かりましたら、随時更新(加筆)いたします。

はい作業主任者の選任

「はい」とは
倉庫、上屋又は土場に積み重ねられた荷の集団をいう(安衛則第427条)。
段ボールを積み上げる作業もはい作業になります。

では、作業主任者を選任しなければならない、はい作業は?
高さ2m以上に荷を積み上げ(はい付けといいます)、又は積み下ろす(はい崩しといいます)作業には、作業主任者を選任しなければなりません。

ですが、選任しなくてもよいケースがあります。
それは、
荷役機械の運転者のみによって行われる場合です。
ひとりでフォークリフトに乗り、はい付け、はい崩しを行う場合は選任する必要がありません(安衛令第6条)。
オペレーター(フォークリフト免許保持者)が2名いて、それぞれが別のフォークリフトに乗って荷役する場合も作業主任者の選任は不要ですが、作業指揮者の選任は必要です。

では
人力で、段ボールを積み上げる場合はどうなるか。
その積み上げる高さが2m以上になる場合は、一人作業でも作業主任者の選任が必要です。法的には。
ただ、それを指摘する監督官はいないだろう。と元監督官が話してました。
逆に、壁に線を引いて、はい付けの高さを2m未満に制限するよう徹底すればよいと話してました。
物理的に2m以上積み上げることができないようにする措置は不要といってました。

因みに、はい作業主任者の責務(安衛則第429条)は
1.作業方法及び順序を決定し、作業を直接指揮すること
2.器具及び工具を点検し、不良品を取り除くこと
3.当該作業を行う箇所を通行する労働者を安全に通行させるため、その者に必
  要な 事項を指示すること
4.はい崩しの作業を行うときは、はいの崩壊の危険がないことを確認した後に
  当該作業の着手を指示すること
5.1.5mを超える高さのはいの上で作業を行う場合に設置する昇降設備(安
  衛則第427条)及び保護帽の使用状況を監視すること

はい作業主任者技能講習のカリキュラム
・はいに関する知識【3時間】
・機械等によるはい付け又ははい崩しに必要な機械荷役に関する知識【3時間】
・人力によるはい付け又ははい崩しの作業に関する知識【5時間】
・関係法令【1時間】
・修了試験【1時間】

法律で必要だから。ということではなく、皆さんの会社で必要な内容だったら、社員教育の一環として受講してみてはいかがでしょうか?

防じん機能付き防毒マスクについて

ここでは、防毒マスクに取り付けることができる、ろ過材(フィルター)の話をします。

なぜ、防毒マスクに防じんマスクの機能を持たせる必要があるか。
有害なガスや蒸気の雰囲気下で、かつ有害な粒子状物質も飛散している環境の場合、その両方に対応できる呼吸用保護具が必要になります。

そのことについては、通達(防毒マスクの選択、使用等について)が出ています。
その中の一部です。

ガス又は蒸気状の有害物質が粉じん等と混在している作業環境中では、粉じん等を捕集する防じん機能を有する防毒マスクを選択すること。その際、次の事項について留意すること。(以下略)

では、その防じんマスクはどのようなレベルのものを用意しなければならないか。
これまた通達 (防じんマスクの選択、使用等について) があります。
抜粋すると、、、

(2) 労働安全衛生規則(以下「安衛則」)第592条の5、鉛中毒予防規則(以下「鉛則」)第58条、特定化学物質等障害予防規則(現在では、「等」が取れてます。以下「特化則」)第43条、電離放射線障害防止規則(以下「電離則」)第38条及び粉じん障害防止規則(以下「粉じん則」)第27条のほか労働安全衛生法令に定める呼吸用保護具のうち防じんマスクについては、粉じん等の種類及び作業内容に応じ、別紙の表に示す防じんマスクの規格第1条第3項に定める性能を有するものであること。

別紙の表

粉じん等の種類及び作業内容 防じんマスクの性能の区分
〇安衛則第592条の5
作業廃棄物の焼却施設に係る作業で、ダイオキシン類の粉じんのばく露のおそれのある作業において使用するマスク
 
・オイルミスト等が混在しない場合 RS3、RL3
・オイルミスト等が混在する場合 RL3
〇電離則第38条
放射性物質がこぼれたとき等による汚染のおそれがある区域内の作業又は緊急作業において使用する防じんマスク
 
・オイルミスト等が混在しない場合 RS3、RL3
・オイルミスト等が混在する場合 RL3
〇鉛則第58条、特化則第43条及び粉じん則第27条金属のヒューム(溶接ヒュームを含む)を発散する場所における作業において使用する防じんマスク  
・オイルミスト等が混在しない場合 RS2,RS3,DS2,DS3
RL2,RL3,DL2,DL3
・オイルミスト等が混在する場合 RL2,RL3,DL2,DL3
〇鉛則第58条及び特化則第43条  
管理濃度が0.1㎎/m₃以下の物質の粉じんを飛散する場所における作業において使用する防じんマスク  
・オイルミスト等が混在しない場合 RS2,RS3,DS2,DS3
RL2,RL3,DL2,DL3
・オイルミスト等が混在する場合 RL2,RL3,DL2,DL3
〇上記以外の粉じん作業  
・オイルミスト等が混在しない場合 RS1,RS2,RS3,DS1,DS2,DS3
RL1,RL2,RL3,DL1,DL2,DL3
・オイルミスト等が混在する場合 RL1,RL2,RL3,DL1,DL2,DL3

上の表は、法令から転記しましたが、シゲマツさんのHPで出ているものの方が見やすいです。
数字はフィルターの捕集効率を表しており、1~3の3区分で3が最も細かい粉じんも捕集できます。ただし、吸気抵抗も大きくなります。つまり、隙間があるとそこから吸入しやすい。
LとSは試験粒子の性状。Lは液体粒子、Sは固体粒子。
RとDはマスクの形状。Rは取替式、Dは使い捨て式。

有害性の高い粒子ほど、数字が大きく、取替式になります。

この表には、RS1~3とありますが、取替式防じんマスク及び防毒マスクに取り付けられるろ過材はすべてRL1~3です。
逆に使い捨て式防じんマスクは、DS1~2までで、DS3やDL1~3はありません。あくまで、規格だけの表で、製品があるわけではありません。
オイルミストのある環境では、使い捨て式マスクを使っていると捕集効率が落ちてきません。つまり、小さい粉じんはおろか、大きい粉じんもマスクを通過してきてしまいます。まったく使えないわけではありませんが、こまめに交換するようにしましょう。

塗装作業の場合はどうなるか。
特にエチルベンゼンなどが塗料に含んでいる場合です。
先ほどの防毒マスクの通達では、

(10) 防じんマスクの使用が義務付けられている業務であって防毒マスクの使用が必要な場合には、防じん機能を有する防毒マスクを使用させること。
 また、吹付け塗装作業等のように、防じんマスクの使用の義務付けがない業務であっても、有機溶剤の蒸気と塗料の粒子等の粉じんとが混在している場合については、同様に、防じん機能を有する防毒マスクを使用させること。

となってます。
〇有機溶剤にエチルベンゼンが含まれている場合
エチルベンゼンは塗料ミスト又は蒸気として気中に発散します。塗料の樹脂粉じんにくっついていますので、上の表の「上記以外の粉じん作業」に該当します。
〇クロム酸鉛を含む塗料の場合
クロム酸が6価クロムなら対策が必要です。クロム酸の管理濃度は0.05㎎/m₃なので、捕集効率の区分1のろ過材は使えません。

こういったマスクの情報は、インターネットを探せば出てきますが、最近のメーカーさんのカタログは詳しく、見やすく作られています。
取り寄せて、手元に置いておくとよいです。

防じんマスクについて

どのようなものが必要かは保護具カタログなどに書いてありますが、カタログに書いていない、または書いてあっても分かりにくいことを書きます。
(防毒マスク、防じん機能付き防毒マスクについては別記事にする予定です)

吸入による障害が考えられる鉱物性粉じんは、肺に入らないようにすればよいのですが、消化器に入って消化され、身体に蓄積し、障害がでる特定化学物質は 、吸引しないことはもちろんですが、口に入らないことも考慮しないといけません。

労働安全衛生総合研究所HPより

こまめにフィットチェックするのは当然ですが、会話をする場合、マスクを着用しているとなかなか聞き取り難いです。
ついついマスクを無造作にずらしてしまいますが、マスクをずらすと、徐々にマスクの密着性が悪くなることを留意しましょう。また、あごなどに有害物質が付着していた場合、マスクの内側に有害物質が付着して口に入る可能性があります。

マスクをずらさずに会話できるように、伝声器があるとよいです。

シゲマツさんの防じんマスク (防じんマスク DR80のリンク

私が使っているマスクの紹介
3MのQLシリーズです

3M取替え式防じんマスク(防毒マスク兼面体) 6500QL/2091-RL3L

本体とろ過材、それとろ過材のカバーです。

付けるとこうなります。向かって右側はカバーを付けていない状態です。

カバーを付けるとこうなります。
カバーはろ過材についた有害物質が手や衣類に触れることにより、付着または有害物の脱落を防止するためです。
普通の粉じん作業なら、カバーは必要ないでしょう。ですが、有害物、特に有害性の高いものにはろ過材がむき出しでないほうが、私は安心です。

また、このQLシリーズはクイックラッチ(youtube動画)ができます。
伝声器があればいいのですが、このクイックラッチを使えば片手でマスクを開け、元通り着用することができるので、ゆるみが少ないです。

あと、鼻のところがスリムに作られているので、眼鏡の鼻当てにあたりません。

でも、3Mさんのはお高いのが玉に瑕・・・